レクサスCTの変革し続ける存在意義 入門層からシニア層へ!?

レクサスCTの変革し続ける存在意義 入門層からシニア層へ!?

 現行のレクサス車では、最もモデルライフが長いクルマがCT200hだ。ハイブリッド専用車として2011年に登場し、現在までに2度のマイナーチェンジを行っている。

 モデルライフの長いレクサスではあるが、約7年でフルモデルチェンジを迎える他車と比べると、CTのモデルライフは、いささか長すぎるようにも感じる。ただ、レクサスではUSF型のLSが、約11年というロングモデルライフであったから、前例のない話ではない。

 現在もレクサスの入門モデルとして愛されるCTの立ち位置は、この10年間でどう変わったのだろうか。実際のオーナー層や、設計の古さへの対応など、今のCT200hを徹底分析していく。

文/佐々木 亘、写真/TOYOTA

【画像ギャラリー】看板娘から大ベテランへ!! 立ち位置こそ変われどいまだ愛され続けるレクサス CT(8枚)画像ギャラリー

■10年たった今でも、欧州の第一線で戦えるCTの力

2011年登場のレクサス CT。登場直後は月販目標の5倍を受注する人気ぶりだった
2011年登場のレクサス CT。登場直後は月販目標の5倍を受注する人気ぶりだった

 2011年の登場時には、月販目標1,500台に対して5倍となる、1か月で7,500台の受注を記録したCT。しかし、昨今の販売実績は全盛期には遠く及ばない。

 それでも、2021年8月の新車販売台数は163台、2021年累計で1,312台だ。モデル末期のNXのハイブリットモデルが月販192台、ガソリンモデルが月販87台だから、まずまず善戦していることがうかがえる。

 国内での人気はひと段落しているが、レクサスは世界を見ると様相は違う。

 レクサスの2020年の全世界販売実績は718,715台である。内訳は北米市場が約29.7万台、中国市場が約22.5万台、欧州市場が7.1万台、中近東が2.7万台、東アジアが3.2万台となっており、で、日本市場は4.9万台だ。

 この中でもCTは欧州市場で強さを見せている。元々、高級Cセグメントハッチバックの人気が高い欧州各国では、10年戦士のCTがまだまだ現役で戦えるクルマなのだ。手頃な価格で、ハイブリッド技術を搭載した低燃費のプレミアムハッチに乗れるというCTのアドバンテージは、10年経過した今も変わらない。

海外での人気の高さが、現在も販売を続けるCTを後押ししている。

■時代とともに役割は「攻め」から「守り」へ

登場当時はレクサスのエントリーモデルとしての色が濃かったCTだが、現在では写真のUXがその役割を担っている
登場当時はレクサスのエントリーモデルとしての色が濃かったCTだが、現在では写真のUXがその役割を担っている

 CTがデビューした2011年、国内レクサスのラインナップはLS・GS・IS・HS・RXという5台体制であり、そこにCTがレクサス6番目のクルマとしてラインナップされた。

 10年前、レクサスブランドの入り口に、看板娘として立っていたのがCTだ。まぎれもなくエントリーモデルとしての役割が強く、ユーザーも、次のクルマへのステップアップを見越した上で、CTを選ぶことが多かったと思う。

 実際にCTを購入したオーナーは数年後に、ISやNXへ買い替えることが多かった。他ブランドへ動くオーナーは少なく、IS・GS・RXなどと比べると、レクサスからレクサスへの代替が、テンポよく進むのがCTの特徴でもある。着実にレクサスのファンを増やし、ブランド構築に貢献してきたクルマと言えるだろう。

 では、現在も看板娘としての役割が残っているのか。答えはNOだ。国内に限って言えば、SUV人気が高まる中、レクサスへの入り口となるクルマはUXへ変わっている。

 CTを選ぶオーナーは若年層から中高年層に変わり、ダウンサイジングの要望を叶える存在となった。IS・GSなどのセダンからCTに買い替えるレクサスオーナーも少なくない。

 登場当初は他メーカーのユーザーを引き寄せる「攻め」のクルマとして、現在はレクサスファンを「守る」存在として、CTの立ち位置は時代とともに変遷してきた。筆者としては、もう一度、攻めの体制に入るCTを見てみたい。

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