■フロアマットとETC、標準装備されないのは同じ理由?
フロアマットが何十年も別売りである最大の理由は、フロアマットが販売店装着オプション(ディーラーオプション)であるからだ。
新車では、車両本体価格とメーカーオプションに、自動車メーカーの利益が大きく含まれる。販売店の利益も少しはあるが、その比率は圧倒的にメーカーの方が多い。
対して、販売店装着オプションは、メーカーよりも販売店の利益が大きくなるようになっている。このように、メーカーオプションとディーラーオプションには、大きな違いがあるのだ。
特に装着率が高い、フロアマット・サイドバイザー・ナンバーフレーム・ボディコーティングは、販売店の収益性が高いオプションの代表例である。これらがメーカーオプション、ひいてはメーカー標準装備となってしまうと、販売店の経営が苦しくなっていく。
道路交通法改正などで、製造段階から機能を組み込むことが義務化されれば別だが、基本的に販売店装着オプションが、メーカーオプションや標準装備に変わることは少ない。
実際にメーカーオプションや標準装備になった元ディーラーオプションを考えると、ここ10年の実例ではコーナーセンサーくらいしか挙がらない。
フロアマットもリモコンエンジンスターターも、ナビやETCに至るまで販売店オプションの売れ筋であり、収益の柱を、メーカーがやみくもに奪うとなれば、販売店からの反発は必至である。
フロアマットは、ユーザーの好みに合わせて選べるようにオプションにしてあるという理由は一理あるが、理由はそれだけではないことが、お分かりいただけたのではないだろうか。
クルマは、メーカーから直接購入するものではなく、販売店を経由して、ユーザーに届く。この仕組みが、フロアマットを標準装備にしない(できない)理由になっているのだ。クルマの販売形態が大転換を起こさない限り、フロアマットは、今後も別売りであり続けるだろう。
【画像ギャラリー】メーカー、販売店……それぞれにそれぞれの事情がある!? 装着率9割超えのフロアマットが別売の理由(6枚)画像ギャラリー
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