クルマ界の禁忌に踏み込む… 旧型のほうが「シブイ」と感じるクルマ 8選

旧型のほうが「シブイかも」と感じさせるクルマたち8選

 モデルチェンジとは、さらなる進歩のために行うもの。旧型より新型のほうがよくなっているのは当然で、そうでなければいけない。

 しかし、新型にモデルチェンジしても、メカがそれほど進化していない割りに、デザインが「旧型のほうがよかったなぁ」と感じる場合もある。

 もちろん全体としては、新型が旧型より退歩していることはないはずだが、人それぞれが持つこだわりポイントをクローズアップすると、「旧型のほうがシブかった」と思うことがあるのは当然だ。今回は、そんなクルマたちを集めてみた。

文/清水草一
写真/トヨタ、日産、ホンダ、スズキ

【画像ギャラリー】モデルチェンジしないほうがよかった? シブさが光る旧型車をギャラリーでチェック!!(28枚)画像ギャラリー

■旧型のほうがシブイクルマその1:トヨタ編/ヴェルファイア、クラウン

 トヨタ車は、豊田章男社長の「もっといいクルマを!」の掛け声の元、あらゆる面で前進を続けている。それはもう本当にあらゆる部分におよんでいて、「旧型のほうがよかった」と思わせることはめったにない。そのめったにないレアケースを2つ取り上げよう。

■旧型ヴェルファイア(2008年5月~2015年1月)vs現行ヴェルファイア(2015年1月~)

初代ヴェルファイア前期型。この時代、アルファードよりヴェルファイアのほうがカッコいいという人が多かったように思う
2代目ヴェルファイア。この代になって完全に人気が逆転し、現行アルファードのオラオラ顔が大ヒット。今こうしてみるとグリルといい、ヘッドライト下のえぐいデザイン処理など、初代ヴェルファイアのほうがいいかも

 ヴェルファイアはアルファードとの比較の上に成り立つクルマ。メカはまったく同じなので、デザインの優劣がすべてだ。アルファードとどっちがカッコいいか? という点だけで評価される。

 先代ヴェルファイアは、2段ヘッドライトの威圧感と凶悪さ(当時の感覚)で、のっぺり旧態依然としていたアルファードを大きく上回っていた。それが販売台数に反映され、本家たるアルファードを超える人気を集めたのでした。先代ヴェルファイアの顔は、今見ると、当時感じた凶悪さもなく、すっきりサワヤカな二段ヘッドライト顔だ。

 が、2015年に現行モデルにチェンジされると、威圧的かつ凶悪に生まれ変わったアルファードの巨大銀歯顔に圧倒され、撃沈されてしまった。

 ヴェルファイアの旧型と新型を見比べると、旧型の上品なカッコ良さが目立つ。旧型ヴェルファイアはシブかった……。

■14代目旧型クラウン(2012年2月~2018年8月)vs15代目クラウン(2018年8月~)

先代クラウンアスリートに採用された稲妻型のフロントグリルは衝撃的だった。ピンクや若草色のクラウンも登場
先代モデルのクラウン・ロイヤル。現行型ではロイヤル/アスリートの種別が廃止されたため、クラウン・ロイヤルとしては同車が最終モデルとなった
現行15代目クラウン。クーペライクなCピラー、ロイヤル系の焼き直しのようなフロントマスクを採用し、若返りを図ったが、次期クラウンはSUVになるという話まで出てくる始末……。次期クラウンはどうなってしまうのか……

 旧型のアスリート系は、イナズマグリルと、ピンクなどのギョッとする大胆なボディカラーで賛否両論を巻き起こし、大いに話題になった。結局販売台数を伸ばすことはできなかったが、私は今でもあの強烈なイナズマグリルが好きだし、デザイン的にも優れていたと考えている。

 ところが新型は、せっかくのイナズマグリルを捨て、旧型のロイヤル系の焼き直しのようなフロントマスクになった。乗り味は、よりドイツ車を意識したものになり、クラウンらしいおおらかさを失った。結果的に販売台数は低迷。モデルチェンジは失敗に終わり、次期クラウンはSUV風になるといわれている。

 クラウンは、新型より旧型のほうがシブかったというよりも、ズバリ「よかった」のではないだろうか? 新型が旧型を明らかに上回っている部分はひとつもない、という印象すらある。まぁ、ニュルブルクリンクを攻めれば、新型のほうが速いんでしょうが、そんなのクラウンにはカンケーねぇと思うんだけどなー。

■旧型のほうがシブイクルマその2:ホンダ編/N-BOX、シャトル

 スポーツモデルの消滅などで、クルマ好きから批判されているホンダだが、通常のモデルチェンジに目を移すと、デザインをシンプル化し、正しい方向に向かっていると感じさせる。

 ただ、デザインのシンプル化はまだ始まったばかりなので、数年前のモデルチェンジでは、失敗を感じさせるものも存在した。

■先代N-BOX(2011年12月~2017年8月)vs現行N-BOX(2017年9月~)

2011年12月に発売した初代N-BOX。フロントフェンダーの張り出しが特徴
初代N-BOX大ヒットを受けてキープコンセプトで登場した2代目N-BOX。変わっていないようで細かいところが変わっているデザイン

 相変わらず国内販売で快走を続けているが、ことデザイン面だけを見ると、旧型のほうが明らかに上だった。旧型は、真四角なハコでありながら、前輪のフェンダー形状がフロントマスクに食い込んだような造形で、強い踏ん張り感があった。

 グリルやライト類などのディテールでも、旧型のほうがシンプル。旧型N-BOXは、販売的にも大成功だったが、そのデザインはユニクロや無印のシンプルデザイン路線そのもので、歴史的な傑作とすら言える。

 ところが新型は、その傑作のいいところを削いで、細部を複雑にしただけ。基本的にはキープコンセプトなので、それほど悪くなったようには見えないが、明らかにデザインの純度は落ちている。

 メカ的には着実に進歩しているし、ホンダセンシングも標準装備になったが、デザインを比較すると、明らかに旧型のほうがシブかった。私なら、旧型の中古車を狙います!

■フィットシャトル(2011年6月~2015年3月)vs現行シャトル(2015年5月~)

2代目フィットをベースとしたステーションワゴンで、実質エアウエイブの後継車
ホンダシャトル。2011年6月登場のフィットシャトルから、2015年5月のフルモデルチェンジの際に車名を変えシャトルとなった

 旧型も新型も、フィットをベースにステーションワゴン化したモデルだが、ハイブリッドのメカは、旧型のマイルドハイブリッドから、新型はDCTを採用した新型ハイブリッド(それも旧型になっちゃった……)になり、大幅に進化している。その点ではまったく比較にならないのだが、デザインに関しては逆の評価になる。

 旧型は、先々代フィットを真っ当にステーションワゴン化していて、特にステキではなかったけれど、どこかヒョーキンでバランスは整っていた。「モテないけどイイ人」みたいな感じですね。

 一方、2015年に登場した新型は、当時のホンダデザインの悪癖がすべて集約されたような、複雑なものだった。エッジラインは不必要に折れ曲がりまくり、いったい何を目指したのかサッパリわからない。「モテようとして失敗したイタい人」のようだ。

 中身は断然新型がいいが、見た目は断然旧型のほうがヨカッタ。

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