国産セダンの代表格である、トヨタ「クラウン」。トヨタ車は、メーカーエンブレムのほかに、車種ごとに用意されたエンブレムを使うクルマがいくつかあるが、なかでもクラウンには、1955年に登場した初代から現行15代目に至るまで一貫して、エンブレムにその名が示す「王冠(クラウン)」が与えられてきた。フロントに輝く王冠のエンブレムは、トヨタの最上級モデルの証として、重要な役割を担っている。
このクラウンの王冠エンブレムだが、15世代受け継がれるうちに、実はちょっとずつ形が変わってきている。歴代クラウンエンブレムの変遷を確認していこう。
文:吉川賢一
写真:TOYOTA、ベストカー編集部
「王冠」を忠実に再現した、初代クラウンのエンブレム
終戦からちょうど10年後となる1955年、初代トヨペット・クラウンが誕生する。国内初のオートマチックトランスミッションの採用、ダブルウィッシュボーン式フロントサスペンションの搭載など、当時の乗用車としては完成度の高いモデルであった初代クラウンは、観音開きドアだったこともあり、ハイヤー用途として定番のクルマとなった。
その初代クラウンのエンブレムは、ゴールドの縁取りにワインレッドという、いかにも「王冠」なエンブレムだった。全体的に丸みを帯びたデザインは、2代目以降のシンプル化された形状とは異なる趣がある。なお、4つの袋に分かれた形状は、この初代モデルのみで、2代目以降は3つの袋となっている。
ペナント形状に変化した「第2世代」
1962年に登場した2代目クラウンでは、形状が大きく変わり、2本の寝かせたラインの上に3つのループを置いてシンボル化した王冠マークに。ゴールドで表現された王冠を、枠で囲むペナントのようなデザインが取り入れられた。
その後、3代目、4代目、5代目、6代目まで、王冠の色や枠のかたちを変えながら、このペナントのようなデザインを継承。クラウンエンブレムの「第2世代」といっていいだろう。
特に6代目のエンブレムは、日本で高貴なイメージのあるブルーパープルを背景色とするデザインとなっており、クラウンの上質感がよく感じられるものだった。
王冠マークのみに回帰した「第3世代」
7代目クラウンから、再び王冠マークのみのエンブレムへと回帰する。ゴールドのカラーで、2本の横ライン上に扇状に広がった3つの山を置いたモチーフは、6代目と共通だが、周囲の枠が外れたことで、王冠が一段と目立つかたちに。その後11代目まで、少しずつマイナーチェンジを繰り返しながら、この形式のデザインが継承された。
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