新型エクストレイルの「期待値」と新型アウトランダーが得た「恩恵」

新型アウトランダーのプラットフォーム開発は日産! 新型エクストレイルの期待と不安

 いよいよ、日産・三菱の協業の成果が登場する――。2021年10月28日、三菱は新型アウトランダーPHEVを発表した。同年12月より発売が開始される。

 バッテリー容量を増やして、EV走行での航続距離を延ばすなど、全体的にブラッシュアップされた新型アウトランダーPHEVは、まもなく登場する日産「エクストレイル」と同じ、CMFプラットフォームが採用されている。三菱のプラットフォームが採用されていた先代までとは、一線を画すものとなっている。

 CMFプラットフォームの採用で、アウトランダーPHEVはどう生まれ変わったのか、登場を控える兄弟車新型エクストレイルの期待と不安についても触れていく。

文・表作成/吉川賢一、写真/MITSUBISHI、NISSAN、Renault

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頑丈さには定評のあった先代アウトランダー

2012年に登場した2代目アウトランダー。2013年には、SUVタイプとして世界初のプラグインハイブリッド車となるアウトランダーPHEVが発売

 三菱「アウトランダー」は、グローバルでの累計販売台数が260万台を超えている人気ブランドであり、日本市場での売れ行きからは想像できないほど、海外市場では売れているSUVだ。

 北米市場ではすでに、ガソリンモデルの新型アウトランダーが、2020年2月より販売されている。それから1年と9ヶ月がたち、今回、満を持してのプラグインハイブリッド仕様登場、となったわけだ。

 北米で販売が始まっている新型アウトランダーの2.5Lガソリンエンジンは、アルティマに搭載されていた直列4気筒ガソリンエンジンの改良版。エクストレイルの北米版である「ローグ」も、2020年10月に発売となっているが、その新型ローグと共用のエンジンだ。アウトランダーの2.4LMIVECエンジンモデルは、2020年10月に生産終了となっている。

 今回の新型は、アウトランダーとして3代目。先代の2代目アウトランダーは2012年に登場、高い衝突安全性を狙った、三菱独自の強化ボディ「RISE」(Reinforced Impact Safety Evolution)を採用しており、頑丈さには定評があった。今作の新型アウトランダーでもその考えは投入されており、米国のIIHS(道路安全保険協会)で、最高評価を得ている。荒れた道やオフロードを走っても、「ミシリ」ともしない堅固な感じは、三菱車ならではだ。

 ボディを頑丈につくらねばならない理由はほかにもある。フロアにプラグインハイブリッド用のバッテリーが押し込まれているため、衝突時でもバッテリーが破損しないよう、堅固にする必要があるのだ。400ボルトほどの強電バッテリーとガソリンを両方持つプラグインハイブリッドだけに、漏電してガソリンに引火という悲惨な事故は、絶対に避けなければならない。

実績のあるプラットフォーム採用でコスト削減に成功

新型アウトランダーPHEVでは、プラットフォームを共用することで車体の骨格やパワーステアリング機構にコストの掛かるタイプを採用

 さて、今回新型アウトランダーPHEVで採用されたのは、ルノー日産三菱のCMF-C/Dプラットフォーム。CMF-C/D自体は、これまでも採用されてきたプラットフォームで、現行T32型エクストレイルやJ11型/J32型のキャシュカイ/ローグスポーツ、ルノーコレオス、ルノーカジャーなど、ルノー日産の主力ミドルクラスSUVには、もれなく使われており、実績は充分。CMFによるプラットフォームは、世代ごとに構造やサイズなどは異なるので、「常に進化し続けるルノー日産の統一規格」と考えるほうが望ましい。

 プラットフォームを共用化する一番の理由は「コストの削減」だ。プラットフォーム開発には、経験と知識を備えた人材と開発期間、そして充分な設備と投資できる資金力が必要だが、協業関係にあるメーカー間で分業して開発することで、これらの負担を軽くすることができる。いいものを多くつくることでコストを下げる。その浮いたコストはより有効なアイテム開発へと回し、さらに商品力を上げる。プラットフォームの共用は、このサイクルを回していくことが目的だ。

 新型アウトランダーPHEVもCMF-C/Dプラットフォームを採用することで、プラグインハイブリッドシステムや他の技術開発に力と資金を割くことができたはず。依然として経営の苦しい三菱だが、日産との協業の恩恵でアウトランダーPHEVが出せた、といっても過言ではないだろう。

 この共用プラットフォームの開発は、日産とルノーの場合、Bセグメントのつくりに長けているルノーが小型車用のプラットフォームを、C/DセグメントやEVのプラットフォームは、日産が主導権を握るという。バックボーンが異なるルノーと日産が、苦労しながらも編み出してきた仕組みだ。そこに三菱も加わったことで、三菱もCMF C/Dが使えるようになった。ルノー日産は、三菱にCMF C/Dを提供する代わりに、プラグインハイブリッドシステムを始めとした、三菱独自のアイテムを手に入れているはずだ。

 この「プラットフォーム」のなかには、ステアリング機構や、サスペンションのメンバーやリンク、ダンパーといったシャーシパーツのほかに、車体のフロア構造も含む。ただ、全高や外観に関係するボディパネル、前後バンパー、バックドア、サイドミラー、タイヤやホイールといったエクステリアや、ダッシュボード、インパネ、メーター類、シートといった内装など、見える部分、触れる部分については、つくり分けができる余地を持たせているので、見た目は全く違ったクルマになる。

 新型アウトランダー(PHEV)の場合も、北米の新型ローグに対して、リアのオーバーハングを伸ばして、3列シートを備え付けているので、ぱっと見は、ローグとは車格の異なるSUVにも見える。とはいえ、シャーシ共用となるので、2705mmmというホイールベースや、1600mm程のトレッドは、新型アウトランダー(PHEV)とローグで、ほぼ同じになっている。

新型アウトランダーは、ホイールベース、トレッド共に、エクストレイル並みにまで拡張されている

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