■三菱の荒ぶる魂(?)ダイナミックシールド
2019年のビッグマイナーチェンジ版デリカD:5の発表は、自動車デザイン界に激震をもたらした。その顔はまるで悪魔! いやよく見ると電気シェーバー! 三菱ダイナミックシールド、衝撃の発進だった。
ダイナミックシールドとは、文字どおり「力強い盾」。もともと三菱は台形のグリルで「しっかりした防御」をイメージさせることを狙っていたが、そこに左右からの力強いパフォーマンス感が加わって、X字型にクロス。ダイナミックなシールドが完成したのである。
デリカD:5に続いて、三菱全モデルがダイナミックシールド顔に変身したが、顔が平面的でないと、X字グリルが流れて迫力が出ないことが判明。結果的にダイナミックシールドのインパクトは、徐々に弱くなっている。
これを打開するには、すべてのモデルの顔を平面的に作り直す必要がある。果たして三菱がそこまでやるか。そこまでやってくれ! やってくれないと、せっかくのダイナミックシールドが時代の波に飲み込まれてしまう! やるならトコトンやるしかない! オラオラを極めろ!
■Vモーショングリルはどうなんだ!?
日産はブランド統一デザインとして「Vモーショングリル」を採用し、全モデルに付けているが、もともとオラオラ狙いではないし、形状の特徴も極めて弱いため、迫力はまるでない。すでに完全に埋没しているので、近い将来、テコ入れが必要だろう。
【番外コラム】美意識は常に変遷する!!
人間が感じる美しさには、ある種の普遍性があるはずだが、こと「顔」に関しては、歴史的に大きく変遷を続けている。
典型的なのが平安美人だ。下ぶくれで目が猛烈に細い。これが平安時代の美人の条件だったが、今の価値観だとブサイク芸人である。20年前、世の中を震撼させたガングロヤマンバメイクは、美意識の揺れを象徴する出来事。「うげえ」と思っても、目が慣れるとかわいく見える(?)。
現在も世界各地に、下唇の巨大化や、首輪をはめることによる首長化といった「美」の習慣が残っているが、オラオラグリルはその一種と考えるとわかりやすい。
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偶像におけるオラオラフェイスの歴史は極めて古く、先史時代にまでさかのぼる。日本の仁王様やお獅子をはじめ、チベット仏教の歓喜仏、インドの破壊神カーリー、ハワイの戦神クー、イースター島のモアイ、インカの太陽神など、世界中のありとあらゆる神像はたいていオラオラである。
一方、自動車にオラオラグリルが本格導入されたのは、今世紀に入ってから。まだ歴史が浅い。つまり今後いかなる発展を見せるか想像もつかないし、伸びしろは無限大だ。今後もオラオラグリルは、人々を感嘆・畏怖させ、神話化を進めていくことだろう。
【画像ギャラリー】D:5は電気シェーバー、M4はマキバオー!? そう思って見ると楽しいオラオラグリルのイロイロ(42枚)画像ギャラリー
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