■追加される多彩なバリエーション
話をゴルフに戻そう。歴代モデルがそうであったように、新型ゴルフもどんどんバリエーションが増えていく。
まずヴァリアント(ワゴン)が追加された。歴代ハッチバックとヴァリアントのホイールベースの長さは同じだったが、新型では初めてホイールベースが35mm伸び(全長は50mm伸びた)、荷室容量と後席の膝前スペースが拡大した。
先代のゴルフヴァリアントでもだだっ広く、下手なSUVよりよっぽど多くの荷物を飲み込んだが、新型はさらに広くなった。一般的にクルマのトランクは500Lを超えると広い部類に入るが、新型ゴルフヴァリアントは600L超え!
そして先般ディーゼルのTDIと、毎度おなじみの高性能モデル、GTIが相次いで追加された。
蒸し返すつもりはないが、15年にディーゼルエンジンの排ガス関連でやらかしちゃったVWだけに、それ以降のディーゼルエンジンは念には念を入れて作られていて、19年に日本導入された先代のTDIもめちゃくちゃ出来がよかった。
あそこまで乗員に音と振動を伝えてこない4気筒ディーゼルは当時ほかになかったし、今も少ない。新型もそのエンジンを踏襲。さらにけじめとして(!?)新たに尿素SCRを直列に2つ配置するツインドージングシステムを採用し、先代モデルに対しNOx排出量を最大80%削減した。
GTIは2L直4ターボエンジンを搭載する。最高出力245ps、最大トルク370Nmというスペックは前輪駆動車としては立派だが、ルノー・メガーヌR.S.やミニのJCWなどもっと過激なライバルも存在する。GTIの本当に素晴らしい点は、パワーアップした分を懐深く受け止めるシャシー性能だ。
内輪にブレーキをかけてアンダーステアを消す電子制御式デフロックのXDSと、左右の駆動輪にトルクを適切に振り分ける電子制御油圧式フロントデフロックを掛け合わせた効果によって、前輪駆動とは思えぬトラクション能力の高さを発揮する。元祖FFホットハッチの面目躍如だ。
オプションのアダプティブ・シャシー・コントロールは19インチタイヤ&ホイールとセットで22万円と値の張るオプションだが、ぜひオススメ。
これを付ければ、ハンドリング優先か乗り心地優先か、クルマの特性を自在にいったりきたりさせられる。コンフォートモードではノーマルゴルフと同等かそれ以上に乗り心地がよい。
ゴルフはどのモデルも安全性も抜かりなし。ADASも最先端で、先行車両との車間調整および車線中央維持をアシストするトラベルアシストは、0-210km/hと事実上全車速域で作動するようになった。
また静電容量式タッチセンサーが備わったステアリングホイールを採用し、ドライバーがステアリングホイールを把持しているかどうかの検知がより正確になった。
従来はパワステに入力があるかどうかでそれを判断していたため、直進が続くとステアリングをもっていても警告が出たが、新型はその悩みを解消している。
ひと通り試乗してみて思う。結局ゴルフの良いところは悪いところのなさだ。動力性能、安全性、快適性、実用性、それにバリエーションの豊富さなど、あらゆる面で一級の性能が備わっている。思えば歴代ゴルフはどれもそうだった。だからこそ徳さんは、常にその時代のゴルフを基準に置いたのだ。
ただし新型からは過去にないふたつの雰囲気を感じた。「もう過ちは犯しません的な禊」と「最後のエンジン付きゴルフだと思ってつくりました的な決意」を。
何十年後かにVW史を振り返った時、分岐点となった存在として挙げられるのが、この8代目ゴルフではないだろうか。2022年のどこかで、ダメ押しとして4WDのゴルフRが登場するはずだ。
【画像ギャラリー】先代に続いて8代目も!! インポート・カー・オブ・ザ・イヤーを受賞した新型VWゴルフ(12枚)画像ギャラリー
コメント
コメントの使い方8代目ゴルフのエントリーモデル・TDIアクティブベーシックを1月末発注、5月の連休明けに手に入れた。ディーゼルとは思えない静粛なエンジンで、燃費は街中17Km/ℓ だが高速では22Kmに伸びる。ACC完備、スマホのAndroid Auto が使えるのでカーナビ不要。流石のひとことに尽きる。