クラウンSUVの期待と懸念 出せば売れる? やっぱりセダン??

セダン「クラウン」が生き残る道はあるのか

国産セダンの代表格である「クラウン」。15代目となる現行モデルは2018年登場
国産セダンの代表格である「クラウン」。15代目となる現行モデルは2018年登場

 要は「車名とは何か」という問題だ。単純に「クラウン」を残すなら、SUVに変更して存続させる方法もあるが、クラウンの高級感、走行安定性、快適性までSUVで継承するのは難しい。

 なぜならクラウンの特徴は、セダンボディを採用したことで、進化してきたからだ。セダンはSUVに比べて天井と重心が低く、カーブを曲がる時には左右に振られにくい。後席の後ろ側には骨格や隔壁があり、ボディ剛性を高めやすい。そうなれば走行安定性と乗り心地を保つうえで有利になる。

 さらに後輪が路上を転がる時に発する音も、後席とトランクスペースが分離されたセダンであれば、居住空間まで伝わりにくい。静粛性を向上させるうえでも、セダンは有利なボディ形状だ。このようにクラウンが備える高級車のイメージは、セダンボディでなければ実現できなかった。

 クラウンもかつては、複数のボディを用意しており、商用車のピックアップトラックやバンを選べた時期もある。それでもクラウンの本流は常にセダンであったから、走行安定性、乗り心地、静粛性の優れたクラウンの高級感が保たれた。販売の見込めるSUVを加えて、クラウンを存続させる方法は有効だが、セダンを廃止すればクラウンの伝統的な持ち味も消滅してしまう。

 結局のところ、クラウンはセダンで頑張るしかない。現時点でセダンの国内販売は低迷しているが、輸入車のメルセデスベンツCクラスやEクラス、BMW3シリーズでは、依然としてセダンボディが売れ筋だ。メルセデスベンツやBMWのセダンが売れて、トヨタのクラウンがダメということはないだろう。

 クラウンには、セダンを諦めず、いろいろなチャレンジをして欲しい。セダンを造り続けることが、クラウンのブランドイメージを支え、走行安定性と乗り心地、つまりクラウンの安心と快適を進化させる。クラウンのSUVモデルは、それを受け継ぐ存在だ。あくまでもセダンあってのSUVになる。

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