■堅実な設計で視界も走りも良好! 再確認するインサイトの魅力
しかし冒頭で触れたとおり、インサイトは優れた商品で、それは独自のセダンボディによるところも大きかった。
まずインサイトのフロントマスクは、今のヴェゼルやシビックと共通する直立したデザインだ。フロントピラーの位置を後退させた水平基調のボディは、視覚的なバランスが優れ、側方や後方の視界もいい。
内装も上質だ。今では2018年の発売から3年を経過したが、インパネ周辺の造りに不満はない。ATの操作がプッシュボタン式になるのは、慣れないと少し戸惑うが、そこを除けば扱いやすい。
居住性は前席については快適だ。全高が1410mmと低く、天井を後ろに向けて下降させたから、後席は腰が落ち込む座り方になる。それでも座面の前側を持ち上げたから、大腿部は離れない。
身長170cmの大人4名が乗車して、後席に座る乗員の膝先には握りコブシ2つ半の余裕があり、前後席とも窮屈に感じることなく乗車できる。
パワーユニットは、ハイブリッドのe:HEVのみを搭載する。1.5Lエンジンは、通常は発電機を作動させ、駆動はモーターが担当する。高速道路の巡航などでは、エンジンが直接駆動する制御も行う。そのほうが効率が優れているからだ。
モーター駆動とあって加速は滑らかで、アクセル操作に対する反応の仕方は機敏だ。ノイズは小さく、モーター駆動だけで発進した後、発電のためにエンジンが始動しても騒々しい印象はない。むしろタイヤが路上を転がる時に発するノイズが目立つ。
WLTCモード燃費は、グレードに応じて異なり、24.4~28.4km/Lに収まる。試乗した時は、通常の走り方で、実用燃費が28km/Lに達した。走行時間の約60%は、減速時とエンジンの発電によって充電されたされた電気を使い、エンジンを停止させて走っていた。
ボディ剛性を高めやすいセダンでもあるから、走行安定性も優れ、峠道などでは後輪の接地性が高いために安心できる。機敏に曲がる印象はないが、ステアリング操作に対する反応は正確だ。
乗り心地は、17インチタイヤ装着車は時速40km以下で少し硬いが、粗さは感じない。16インチタイヤは、引き締まり感は薄れるが、空気充填量が多く柔軟だ。
■意外に割安なインサイト ホンダの販売戦略に変更が求められる
このようにインサイトは、デザインは地味ながら、居住性、動力性能、走行安定性、静粛性、乗り心地、燃費が優れている。
価格はLXが335万5000円だから安くないが、衝突被害軽減ブレーキと運転支援機能を併せ持つホンダセンシング、LEDヘッドランプ、ナビゲーションシステム、アルミホイールなどは標準装着している。
インサイトLXと同程度の装備を採用した1.5LターボのシビックLXは、価格が319万円だ。つまりハイブリッドとターボの価格差が16万5000円だから、シビックに比べればインサイトが割安になる。
以上のようにインサイトは優れた商品だから、ホンダはもう少し情報発進や販売に力を入れるとよいだろう。
オデッセイやアコードを含めて、ホンダには「乗るといいクルマ」が多い。すでにティザーキャンペーンを始めている新型ステップワゴンを皮切りに、ミドルサイズ以上の販売に力を入れて、ダウンサイジングしたブランドイメージを再構築すべきだ。
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