■国産クルマメーカーに与える刺激はあるか
仮にもソニーが自動運転でヒマになったぶん、退屈な移動の時間を車内エンタメで楽しもうとする程度のレベルしか考えていないなら、移動することがなぜ喜びをもたらすのかという理由が解明できていないことであり、せいぜいゲームや映画を鑑賞できるクルマという程度のものになるだろう。
が、もしソニーのクルマに乗って「今までこんな楽しい移動は体験したことがない」「せっかくドライブするならソニーのクルマにしたい」と思わせるような移動空間の新たな付加価値をユーザーに提供できる「再定義」ができたなら、ソニーの自動車ビジネスは世界に飛躍できる可能性は大きい。
ただ、この先自動運転などの技術が進化しても「クルマは人の命を乗せて公道を走る商品」であることには変わらないだろう。遊園地のゴーカートならともかく、安全確保を最優先に開発に取り組む既存の自動車メーカーにどこまで太刀打ちできるのかは未知数。
それにしても異業種であるソニーの次世代モビリティへの宣戦布告は、脱炭素社会に向けてクルマとは縁遠い若者などにも関心を呼ぶような話題づくりとともに、「EVに後ろ向き」と評されてきた国内メーカーにとっても「負けてたまるか」と奮起を促す意味合いからも大きな刺激を与えていることだけは間違いない。
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