東京の空気と道路を変えよ!! 石原慎太郎が自動車業界に残した遺産

■低性能なディーゼルエンジンと不正軽油を排除

当時の日本のディーゼル排ガスは最悪。石原氏の剛腕で自動車業界が動き、いまや日本の自動車メーカーが作るディーゼルエンジンの性能は世界トップクラスとなった(DedMityay@AdobeStock)
当時の日本のディーゼル排ガスは最悪。石原氏の剛腕で自動車業界が動き、いまや日本の自動車メーカーが作るディーゼルエンジンの性能は世界トップクラスとなった(DedMityay@AdobeStock)

 とにかく、当時の日本のディーゼル排ガスは、本当にひどかった。幹線道路では、クルマの窓など開けられなかったし、オープンカーの屋根を開けるなんて狂気の沙汰だった。

 もちろん幹線道路沿道住民はたまったものじゃない。多くの公害訴訟が起こされ、国は敗訴を続けたが、PM規制の強化はまったく進んでいなかった。

 当時の日本の軽油は、残留硫黄分が欧米の約10倍。軽油の質そのものを変えないと、排ガスの浄化は極めて困難だった。つまりトラックメーカーからすると無理難題であり、石油業界にとっては、巨額の追加投資が必要になる経営上の難問だったのである。

 が、石原氏の剛腕がそれを打ち破った。2003年から、PM排出基準を満たさないディーゼル車の都内走行が禁止されると、周辺3県もそれに同調。

 最終的には環境省や日本自動車工業会も積極姿勢に転じ、国のディーゼル排ガス規制が強化されることが決まった。この動きに抗しきれず、石油業界は数千億円の追加投資を行って、軽油の残留硫黄分を欧米よりも低下させた。

 結果、日本の大都市に青い空が戻ってきたのである。石原氏の「ディーゼル車NO作戦」は、東京都を出発点に、日本を変える大勝利を収めた。石原さんには、感謝してもしきれない。

■全線を大深度地下化することで外環道計画を再始動

空から見た外環道トンネル工事現場付近。「渋滞をなんとかしないと」と、外環道東京区間の計画を再始動。国を動かし、工事を再開することが決定した(northsan@AdobeStock)
空から見た外環道トンネル工事現場付近。「渋滞をなんとかしないと」と、外環道東京区間の計画を再始動。国を動かし、工事を再開することが決定した(northsan@AdobeStock)

 もうひとつの偉業は、1970年以来、建設が凍結されていた外環道東京区間の再始動だ。

 石原氏は、こちらも都知事に就任して間もない1999年、「渋滞をなんとかしなくちゃならないだろう」と言って再始動を指示。4年後の2003年には全線を大深度地下化する方針が示され、2007年に計画が決定した。

 こちらに関しても石原氏は、外環道を作るために、国に大深度地下法を制定させることに成功している(01年)。文字通り、石原氏によって国が動いたのだ。

 外環道東京区間の工事は、一昨年10月に発生した地上陥没事故によって工事が中断しているが、被害を受けた地権者への補償を進め、再発防止策を徹底することで、シールドトンネル掘削工事が再開される流れになっている。とりあえずは土地を取得した区間の地下部分から、工事を再開することが決まった。

 まさか地下40メートル以上の大深度に掘られたトンネルで、地上が陥没する事故が発せするとは、石原氏も考えなかっただろう(私も思いませんでした)。今後工事が再開されても、進捗速度はかなり遅くなるが、なんとか完成することを祈っている。

 実は、外環道東京区間の完成も、個人的な悲願。約20年前から予定地に足を運び、「環八地下化」などの具体的な提案を行ってきた。環八の地下なら若干の陥没事故が起きても大きな問題にならなかったはずだが、とにかくどんな形であれ開通してくれれば、首都圏のドライバーにとって大きな福音となる。

 石原慎太郎氏は、私たち自動車ユーザーに、大きな遺産を2つも残してくれた。私はその業績を決して忘れないし、死ぬまで感謝し続ける所存である。

【画像ギャラリー】国会初登院はコスモに乗って……石原慎太郎が愛したスポーツカー マツダ コスモスポーツ(7枚)画像ギャラリー

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