トヨタがカローラアクシオを意地でも残す意義はどこにあるのか

トヨタがカローラアクシオを意地でも残す意義はどこにあるのか

 「5ナンバーセダン」かつて世の中の自動車そのものを表していたと言っても過言ではない言葉が、今や死語になりかけている。数々の名車が姿を消す中で、今、唯一新車購入できる5ナンバーセダンがカローラアクシオだ。

 もはや主流ではなくなり、本家カローラが3ナンバーセダンとして健在の中、アクシオは残り続けている。トヨタが意地になって販売をつづけているだけなのか、それともアクシオには何か大きな存在意義があるのだろうか。販売現場から見えるカローラアクシオの今に迫っていく。

文:佐々木 亘
画像:トヨタ

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■日本人が日本のために作り、残したクルマ「アクシオ」

 カローラが世界共通のプラットフォームを使用していたのは、2000年~2006年まで販売されていた9代目までだ。10代目以降は、グローバル視点のカローラと日本国内のカローラでは仕様が異なる。

 オーリスのプラットフォームを使ったグローバル仕様の10代目は、全幅が1,760mmと5ナンバーサイズを大きく超える。この仕様では日本国内での販売が厳しいと判断したトヨタが、日本向けに登場させたのが「アクシオ」だ。プラットフォームは先代のものを改良流用し、全幅を1,695mmに抑えている。

グローバル仕様の10代目は5ナンバーサイズを大きく超えるため、日本向けに登場させた。先代のプラットフォームを改良し、全幅は1,695mmに抑えている
グローバル仕様の10代目は5ナンバーサイズを大きく超えるため、日本向けに登場させた。先代のプラットフォームを改良し、全幅は1,695mmに抑えている

 現行型となるアクシオが登場したのが2012年、以降2度のマイナーチェンジを経て現在に至る。10代目と比較して全長を50mm短くし、エンジンは1.3L~1.5Lのラインナップとなった。

 2019年にはグローバルモデルと同じ、3ナンバー化されたカローラが日本国内にも登場したが、国内特化したアクシオは消えずに残っている。国内の道路事情や交通事情を中心に考え、ボディサイズを変えずに作り続けるアクシオは、クラウンのようだなと筆者は思う。

 日本人が日本のためだけを思い作られた「アクシオ」は、日本のクルマが守るべき、価値や品質を背負っているのではなかろうか。

■不人気で絶版へ?いやいや需要は残っているぞ

 2021年3月、トヨタの全チャネル併売化と車種整理のあおりを受け、コロナ・カリーナの系譜を持つ、プレミオ・アリオンが姿を消した。トヨタから相次いで5ナンバーセダンが消えたことで、アクシオも廃止されるのではないかという噂が立ったが、これは杞憂に終わる。

 一般ユーザー向けのカローラとしては、TNGA採用の3ナンバーセダンが幅を利かせており、アクシオの影は非常に薄くなった。しかし、2021年の累計販売台数は10,090台と、需要は底堅い。月販800台以上をコンスタントに稼ぎ出し、アクシオだけでカムリと同等の販売台数を維持している。

 アクシオの現在について、カローラ店のベテラン営業マンに話を聞くと、「需要として最も多いのはビジネスユースだが、一般ユーザーにもまだまだ売れている。特に60代~70代で、マニュアルトランスミッションを希望するユーザーへの販売が多い」という。

 購入相談は、運転者本人からではなく子の世代(30代前後)から寄せられることが多いらしい。「父のクルマがもうボロボロで買い替えさせたいだが、本人はマニュアルしか運転しないと言ってきかない。国産・マニュアル・手頃なクルマとして考えると、カローラアクシオしかないんです」という要望に対し、月に1回程度は自宅へ訪問商談を行い、契約をもらうことがあると話してくれた。

最も多い需要はビジネスユースだが、一般ユーザーにもまだまだ売れており、2021年の累計販売台数は10,090台と月販800台以上を稼ぎ出している
最も多い需要はビジネスユースだが、一般ユーザーにもまだまだ売れており、2021年の累計販売台数は10,090台と月販800台以上を稼ぎ出している

 確かに5ナンバーセダンがなくなり、同時にマニュアルトランスミッションの選択肢はスポーツカーにしか存在しなくなった昨今だ。アクシオを必要とする日本のユーザーは、まだまだ多いのだろう。

次ページは : ■プロボックスやハイエースと同じ?アクシオは日本に必要なクルマ

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