■ベーシックグレードでも安全装備は充実
注目すべきは、このAグレードでも、最上級のハイブリッドXと同じく、デュアルカメラブレーキサポート、誤発進抑制機能、後退時ブレーキサポート、後方誤発進抑制機能、リアパーキングセンサー、ふらつき警報機能、先行車発進お知らせ機能、ハイビームアシスト、エマージェンシーストップシグナル、ヒルホールドアシストといった、安全運転支援装備が標準装備となることである。
さらにAグレードでは、マニュアルエアコンやパワーウインドウ(フロントのみ)まで標準装備となっている。ただし、Aについては後部ドアのガラスは開閉機能なしの固定式となっており、初代のような割り切りの良さを強く感じる装備内容となっている。
さらに現行アルトでは、最上級のXやその次のSでは、マイルドハイブリッドエンジンを搭載し、買い得のLやAではエネチャージエンジンを搭載しているところも注目された。
同じスズキであっても、スペーシアやハスラーなど、他の軽自動車よりも、さらにコストを意識して開発しなければならないモデルなのに、全車安全運転支援デバイスの充実や、コストのかかる、マイルドハイブリッドユニットを一部グレードながらラインナップしてしまったところを、“スズキマジック”と表現するひともいた。
先ほどから紹介しているAの2WDのメーカー希望小売価格は94万3800円。
1979年当時の1万円をいま換算すると、約2倍程度といわれるが、大卒公務員の初任給も2倍強になっていることをベースに考えると、47万円の2倍は94万円となるので、ほぼ1979年当時の47万円相当が現行アルトAグレードの価格になっているともいえる。
オーディオ(カーナビ)がオプションになるのも初代と同じだが、エアコンや各種安全運転支援デバイスが標準装備になり、電動ユニット(エネチャージ)を搭載することを考えると、初代アルトよりお買い得になっているといってもいいだろう。
■あのライバル車と比べてみる
アルトのライバルといえば、ダイハツミライースとなる。こちらのベーシックグレードとなる“B SAIII(2WD)”のメーカー希望小売価格は92万6200円。アルトのAより1万7600円安くなっている。
Bにはスマートアシストのレス仕様もあるが、スマートアシストIIIやエアコンなど、アルトのAと同等の装備内容となっているので、ここまでのアルト対ミライースのベーシックグレード対決では、ミライースのほうがさらに買い得に見えてしまう。
それでは、ミライースは一般的なガソリンエンジンを搭載しているので、燃費対決では……、と思いWLTCモード値で比較すると、0.2km/Lアルトのほうが勝っている。
ただし、WLTC市街地モードでは2.1km/Lアルトが勝っているが、同郊外モード、高速道路モードではミライースが勝っていたので、ほぼ引き分け(リアの窓ガラスが開く分イース有利?)とするのが現状といっていいだろう。
しかし、現行ミラ イースは2017年にデビューしているので、そろそろモデルチェンジを控えている。
新世代DNGAプラットフォームを採用する次期型で、エネチャージもしくは、それ以上の電動ユニットを搭載したとして、現行アルトと同等の価格設定を維持できるかどうかとなったときに、初めて両車の決着がつくことになるだろう。
ただ、ラインナップ全体をみると、マイルドハイブリッドユニットまで用意しての、新型アルトの価格設定は衝撃的なものであった。
実際、売れ筋になると思われるお買い得グレードで見積りをとると、若干だがアルトの方が支払総額は安くなっていた(マイルドハイブリッド仕様ではない)。どちらにしろ、スズキ、ダイハツともにライバルの動向を小まめにチェックしている様子がうかがえる。
最近の新車販売現場をみていると、他メーカーライバル車の動向をあまり意識しないセールスマンが目立つのだが、スズキとダイハツディーラーでは、お互いの動向をしっかりトレースしている様子がうかがえる。登場したてのアルトと、モデル末期のミライースでは、値引き額に開きが出てしまう。
そこで、スズキはアルトに限定はしていないが、1.9%超低金利ローンの期間限定設定や、カーナビなどオプション用品の値引きなどを積極的に行い、値引き額でのミライースとの差を埋めようとしている。
一方のダイハツでは低金利ローンの期間限定設定などはスズキに比べれば限定的となっている。スズキで残価設定ローンを組むと、メンテナンスパックが標準付帯されるので、あるダイハツ系ディーラーでは、メンテナンスパックを無料サービスしていた。商品情報だけでなく、相手の値引き条件などの情報収集にも余念がないようだ。
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