高市早苗氏が22年乗った愛車A70スープラのレストアプロジェクト始まる!

■レストアした名車を常時するミュージアムはこうして生まれた


西川:まほろばミュージアム作ったきっかけは何だったのですか?

菊池:レストアした最初の3台(筆者注:コロナ、クラウン、カローラ)は各種イベントや奈良モーターフェアなどで展示したり、レクサス奈良八条のリニューアルの際にしばらく展示していたり、というくらいで日ごろはしまってあったんです。

 そんなある日、「せっかくレストアした名車達なんだから、いっそ展示しませんか?」というエンジニアの問いかけをきっかけに、常時展示を本格的に考え始めました。80周年記念事業のランドマークにもなるし、お客様にも喜んでもらえるだろうとも思ったので。

 この場所は、中古車屋内展示場だったんですけれど、元々はファストファッションの店舗だったためロフト感たっぷりの雰囲気で、広さもちょうどよかった。幹線道路沿いでアクセスもいいので、レストア車を展示するスペースとしては抜群じゃないかと思い、ここに博物館を作ることを決めたのです。

 展示に関しても人任せにはせず自分たちで考えて作り込んでいます。ホッとできる憩いの空間にしたかったのですが、そのためには手作り感が大事だろうということで、入口横の「昭和レトロコーナー」も自分たちでグッズを持ち寄ったり借りてきたりしたアイテムを展示しています。

 レストア車以外にも有森裕子さんの揮毫、元近鉄バファローズ投手の久保康生さんのユニフォームなどのご縁のある方々の貴重な品々も展示できたので、自動車メインではありますが、憩える懐かしい空間にできたんじゃないかと思っています。近鉄バファローズファン、阪神タイガースファンにもきっと喜んでもらえることでしょう。

レストアプロジェクトで蘇らせた名車を展示するまほろばミュージアム。展示車両は2代目コロナや初代クラウン、A70スープラ、ほかレストア車両8台を展示。高市早苗氏のスープラはレストアされた後、まほろばミュージアムに展示される予定
レストアプロジェクトで蘇らせた名車を展示するまほろばミュージアム。展示車両は2代目コロナや初代クラウン、A70スープラ、ほかレストア車両8台を展示。高市早苗氏のスープラはレストアされた後、まほろばミュージアムに展示される予定


所在地:奈良県奈良市八条5丁目431-1
営業時間:午前10時~午後5時(月曜日定休)


西川:これだけの台数をこなすと、あちこちからレストアを頼まれませんか? クラシックカー好きの私としても「奈良トヨタに持って行ったら何とかしてくれるんちゃうか?」と淡い期待を抱いてしまいますし。レストアを事業として行う計画はあるのでしょうか?

菊池:実際に何件か問い合わせをいただいています。先日も野ざらしのカローラレビン(TE27型)復活の話がありました。でもまずは奈良トヨタ本社で預かっている“早苗さんのスープラ”を先に行います。

 2月にスタートするべくメンバーの募集し、キックオフを行いました。30年前と比較的新しいクルマだからメンバーも新しい人達が多く集まっています。

 レストアの事業化ですが、いずれ電気自動車の時代になれば人員に余裕もできるでしょうから、その時になれば考えられるかもしれませんね(笑)。

西川:きっかけがあったにしてもその後も続けこれだけ台数を増やすのは経営的にもチャレンジな気がしますが?

菊池:エンジニアのモチベーションが上がって活き活きしている顔を見るのは嬉しいので今後も続けていきたいですね。サービス技術の伝承としての価値もかなり高いですし。

 また、“全てのご縁を生かして地域社会に貢献する”という私の思いの体現になるとも思っています。奈良には神社仏閣たくさんあるけれど産業遺産を見る場所がほとんどありません。大人と子供が一緒に楽しめるような場所を作りたい。それもまたミュージアム設立の動機の一つでもありました。

 奈良という風土に見合う形で自動車文化へ貢献する一つの方法として、こういうこともありなんじゃないか、と思っています。

レストア済みの1992年式A70スープラ。高市さんのスープラもレストア完成後に飾られる予定
レストア済みの1992年式A70スープラ。高市さんのスープラもレストア完成後に飾られる予定


西川:奈良に合ったと言われれば奈良の人には響きますね。奈良出身の私にも。ところで、ディーラービジネスが変わっていきそうななか、奈良らしい自動車ビジネスの形ってあるでしょうか? 元々奈良の自動車販売の先駆けで礎を築いた奈良トヨタとしては、古いクルマのレストアもやりつつどのようにディーラー経営環境が変っていくのでしょうか?

菊池:トヨタのチャネル別販売政策もなくなったので、奈良トヨタグループのブランド価値をどう高めていくかを自分たちで考えなければならなくなりました。でも同時にディーラーの自主性に任せるようにメーカーの施策も変わってきたので、自分たちで工夫する余地が大きくなったとも言えます。

 ビジネス面では、都市部と山間部の違いが大きく、過疎率が高い地域もあります。高齢化地域も含めてこの辺りへのアクセスや細かいサービスをどう展開していくかが当面の課題になろうかと思います。

 社会貢献という面では、唐古・鍵遺跡で警察、消防、自衛隊などの協力を得て奈良トヨタと地元自治体(田原本町)と共催しているアウトドア&防災フェスタを引き続き開催します。レストアを通じてトヨタスポーツ800オーナーズ協議会とのお付き合いもできましたので、2022年のイベントではパレードなどもできないかと思っています。

【画像ギャラリー】かずえシーマに続け!! 高市早苗氏が乗った『さなえスープラ』とまほろばミュージアム展示車両(34枚)画像ギャラリー

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