年間一時金に豊田章男社長が満額回答!! トヨタとほかの自動車メーカーとの給与の違いはどんなものか!?

■真の幸福とは何か?

 サラリーマンにとっては給料が高いに越したことはない。が、実際に働いている人たちに話を聞くと、必ずしも給料の多寡だけが幸福度を決定づけるわけではないことがわかる。それは企業風土の違いも微妙に影響する。

 トヨタの場合、日本の自動車メーカーでは収入は最も高いが、会社として何をやるかということについては経営トップの豊田章男社長の意思が絶対で、あとは役員から末端に至るまでそのビジョンを実現させるための駒という「三河武士」的な気質が強い。組織を利用して自分の夢を実現させたいという人には向かず、社風になじまない有能な人材が中途退職する例も少なくない。

 また、トヨタに次いで給与が高いホンダは、役員や管理職の権限が強すぎるうえに風通しも悪く、現場で建設的な意見が出ても軋轢を避けるために経営陣にまでのぼりにくい。それをストレスと感じる人にはこれまた不向きである。

 下位企業では収入への不満は当然それなりに出る。しかしながら、例えば、今回「満額」を示さなかったスズキの給料は低いが、お膝元の浜松市は政令指定都市のわりに物価が安く、生活費がそれほどかからない。

 一方、「働き方」については小規模メーカーらしく、従業員に任される仕事の範囲が広く、そこに面白味を見つける人も多い。実家が浜松という人材がより年収の高い非自動車分野からスズキに転職するというケースもある。郷土愛に満ちた社員が多いマツダやスバルにも似た傾向があることも見逃せない。

■流行の「高付加価値なビジネスモデル」に転換を

 岸田内閣が求める賃上げにとりあえず応えた格好の自動車業界だが、今回のような形での賃上げが本当によかったのかどうか、結論を出すには時期尚早だ。

 ただ、賃上げが需要を増大させるということが既成事実であるかのように語られているが、賃上げは企業が乏しい利益を削り飛ばして行うものではない。付加価値の高い商品をどんどん売り、そこで得た潤沢な利益から従業員に分配するのが本筋である。

 とどのつまり、トヨタを含め1990年代から今日まで賃金が上がらなかった最大の原因は薄利多売から高く売って大きく儲けられるようなビジネスモデルに転換できなかったことが背景にある。

 今年のように法人税減税はじめ政府から企業へのキャッシュバックがなくとも継続して賃上げを行えるかどうかは、経営者が「生き残り」などという目標ではなく、時代に即した新たな領域で潤沢な利益をもたらすような経営力を発揮できるかどうかにかかっていることは改めて言うまでもないだろう。


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