■好調の要因は性能だけでなく補助金も後押し
そんなアウトランダーの好調には、いくつかの要因が考えられる。
まず、新型ではガソリン車を割り切って廃止し、PHEVに絞ったわかりやすい売り方をとったことも、売れ行きには効いていそうだ。
また、PHEVのようにやや特殊なクルマは、他メーカーでは台数を限定した販売方法をとることが多いところ、三菱では何も制約を設けずいつでも普通に購入できるようにしているのも、買う側にとってはとっつきやすいこともいうまでもない。実はこれも特筆すべきことだ。
さらには、令和3年度補正予算「クリーンエネルギー自動車・インフラ導入促進補助金」が増額されて、実質的な購入金額がよりリーズラブルになることも、購入を検討した人の背中を押していることに違いない。
スタイリングの評判も上々だ。
同じく大胆にダイナミックシールドを採用したデリカD:5が現在のような顔になることが判明した際には当初とやかく言われたものだが、実際に街中を走るようになると評価は一転して好印象なものになった。
ところがアウトランダーは最初から評価が高いようだ。フラッグシップに相応しく質感を大幅に高めたインテリアの仕立ても申し分なく、購入を決断させるには十分に足るように思える。
走りについても、そのよさは乗れば誰でもわかる仕上がりだ。ただし、最近では試乗車の配備も整ってきたようだが、プロトタイプの情報解禁が2021年10月で、我々メディア向けの公道試乗会が開催されたのが2022年1月下旬のこと。
すなわち、まだ一般の方々が試乗できる機会はほぼなかったはずにもかかわらず、公道試乗会が開催された頃に、まもなく受注が1万台に達しそうな旨が伝えられた。
その1万人近くの人は、非常に評価の高かったプロトタイプの記事を読んで決めた人もいることだろうし、いずれにしても自身で実車に乗る前に購入を決断したということになるが、それでも「欲しい!」「乗りたい!」と思わせる大きな力を新型アウトランダーは持っていたということだ。
もちろん新型アウトランダーは数字に表れる性能面でも大きく進化しており、それを理解して購入を決めた人も多いことだろう。モーターの出力や駆動用バッテリーの容量が向上し、航続距離は大幅に伸びて、EV走行もカタログ値で83~87kmもの距離を電気だけで走行できるようになった。
ご存知のとおりPHEVというのは外部からの充電も可能なHEVであり、普段の買い物や通勤などの短い距離であればBEVとして使えて、旅行などロングドライブではHEVのように使える、両車のいいとこどりをしたクルマである。さらには非常時やアウトドアユースで役立つ給電機能も備えている。
しかもアウトランダーは、急速充電にも対応している。PHEVの急速充電の是非については各社で考え方が分かれるところだが、ユーザーにとっては急速充電もできたほうが便利なことはいうまでもない。
また、これまでやや三菱が出遅れていた感のあった先進運転支援機能についても、待望の操舵制御が加わり車線維持機能などが搭載されたのも大歓迎だ。インフォテイメント系の機能もアップデートされて大幅に充実した。これまで競合車と比べてやや見劣りしていた部分が一気に進化したのも大きい。そしてなにより7人乗りが用意されことが最大の決め手といえる。
このように新型アウトランダーは、あえて選ぶ価値をいくつも持った、三菱にとっても渾身の1台だ。今後は徐々に納車が進められていくだろうが、その仕上がりは多くの人にとって予想を超えているはず。高い完成度を味わうほどに、買ってよかったと実感することに違いない。
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