「惚れたクルマにいつまでも乗っていたい」。そんな思いを持つ人は多いことだろう。「クルマの寿命は10年10万km」なんていわれていた時代もあったが、乗用車の平均使用年数は近年右肩上がりで伸びている。
その要因としては、年々進歩する技術によって故障が少なくなったこと、そしてボディの耐久性が向上していることがひとつ。そしてもうひとつは、経済的理由で乗り替えられない人が多く、古いクルマを直しながら長く乗ろうという人が増えたことが考えられる。
ただ長く乗ろうにも、知識がなければうまくはいかない。最近は異常な暑さなど天候が及ぼすクルマへの影響が心配な人もいるだろう。そこで今回は、どのような点に気をつけてメインテナンスすれば、20年20万km乗れるのか、プロの話を交えながら紹介していく。家族同然のクルマを長く乗るポイントを知ってもらいたい。
※本稿は2017年のものです
文:国沢光宏、ベストカー編集部/写真:Adobe Stock、ベストカー編集部
初出:『ベストカー』2017年10月10日号
エンジンオイルは何キロごとに交換する?
クルマを長く乗ろうと思うと、一番気になるのがエンジンオイルかもしれない。大型のカー用品店に行ったりすると、オイル交換会員になることをすすめられたりすることもあるから、「やっぱり交換しないといけないんだろうな」と感じることも多いと思う。ただ、これもクルマの使い方による部分が大きい。
たとえばエンジンをほとんど高回転まで回すこともなく、普通に通勤やドライブに使っているのなら、1万km以上無交換でもトラブルになることはないだろう。20万km乗るなら20回の交換だ。
逆に、エンジンを高回転まで回して乗ったり、サーキット走行をするというのなら、なるべく頻繁に交換するのがおススメ。3000km程度を目途に交換するのがいい。しっかりエンジン内部の保護をするためにオイルの銘柄にもこだわりたい。できれば100%化学合成を謳っているものがいい。
自分のクルマをいい状態で長く乗りたい人ならば、多かれ少なかれクルマ好きなんだと思う。そういう人の精神衛生上のことを考えれば、基本は半年、もしくは5000kmで、オイル交換2回に1回はオイルフィルターを交換するのが理想となる。もうひとつ考えたいのは、現在はエコ重視ということ。あまり頻繁なエンジンオイル交換も環境汚染……などと言い始めるとうるさいかな?
デフオイルはいつ交換する?
一般的にデフオイルの交換をする必要はあまりない。エンジンオイルと違いデフオイルは、デフとリングギアを潤滑しているだけで負担が少ないからだ。
ただ、さすがに20年20万km無交換でいいか? というと、ちょっと自信がない。大事に乗ることを考えれば2年2万kmごとがオススメだ。
しかし、これがFWDのMTで、多板式のLSDが入っている、などというと話が違ってくる。このLSDがクラッチの摩擦で発熱するために、オイルの劣化が激しくなる。しかも、ミッションオイルも兼ねているから、下手をするとミッションのシンクロの劣化まで誘発する可能性がある。こういう場合には6000kmに1回がおススメだ。よくレース屋さんは「エンジンオイル2回にデフオイル1回」と言っているぞ。
CVTやATを長持ちさせるヒケツとは?
「これは運!」と言ってしまっては身もフタもないかもしれないが、それが事実に近い。もちろん常にアクセル全開! などではなく、標準的に使っての話。壊れるのと壊すのでは話が違ってくる。
まず長持ちさせることを考えると、内部を潤滑するフルードの交換が重要だ。実はCVTは、内部のフルードを交換できないようになっている場合が多いから、交換したくてもどうしようもない。実際、交換したいはずのカーショップでもCVTだと思ったら、チェックしない場合もある。
それに対してATはフルード交換という手段が使える。ただ、経験上だが無交換で10万km以上走ったクルマのATフルードを交換したりすると、かえって変速ショックが大きくなったり、壊れたりということもあるようだ。特に高性能を謳ったフルードは注意。内部の洗浄力が強いから、それまで安住? していたスラッジが剥がれて詰まることが原因といわれる。
結論として長い間乗ろうというのであれば、CVTは丁寧に乗るしかない。ATならば丁寧に乗ることに加えて、定期的にATフルードを交換するのがいい。推奨は2万〜3万kmというところだろう。
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