■リビルトバッテリーで10万円を切る価格! その秘密は
そして今回、注目は20プリウス用で9万円(バッテリーコア返却を含む価格)という、10万円を切るロープライスを実現したことだ。また、20アルファードや20エスティマ用を始めとするリチウムイオンバッテリーを初めてリビルドバッテリーとして用意したこともニュースである。
展示していたのは兵庫尼崎市に本社があるリビルド部品業者、ながおテクノという、トラック用部品を始めとして幅広くリビルド部品を販売している企業。
特にトラックは年間走行距離が多く耐用年数も多いため、タフな部品構造としていても一定の期間を過ぎると部品交換の必要が出てくる。そのため、リビルド部品が多く利用されているのだ。
クリーンディーゼルになって補機類の種類が増えていることも、新品より安価で保証も付くリビルド品の需要を高めているらしく、実に幅広い部品をラインナップしている。
トヨタのハイブリッド車用リビルドバッテリーに話を戻すとリビルドされるのは、リビルドバッテリーを購入時に引き取った使用済みのバッテリー。つまりダメになったバッテリーを引き取って、それを再生して再び使えるようにリビルドしているのだ。
具体的には個々のセルに対して約20時間をかけて充放電を繰り返すことで良否を判定しており、80%以上の容量を維持しているセルのみ再利用して、足りないセルは新品を組み合せているらしい。
しかし自動車メーカーほど大量に仕入れる訳ではないだろうから、新品セルの入手も難しそうだ。入手経路はどうやって確保したのだろうか。説明員にそう訊くと意外な答えが……。
「新品のバッテリーパックをディーラーから購入して、それを分解して新品セルとして取り出しています」
なるほど、自動車メーカーに納入された新品のバッテリーパックならば品質はお墨付き、まとめて購入できるので個別に電池メーカーから購入するより調達コストも抑えられそうだ。
また各セルを連結している銅製のプレートも当初は磨いて再使用していたそうだが、劣化により導通のバラつきが存在するらしく、現在は新品を製作して利用しているそうだ。
リチウムイオンバッテリーの場合は、単純に充放電の能力や電圧だけでは、寿命を判断できないため、再生してリビルドバッテリーとすることが難しいそうだ。また新品に近いセルを多く組み込むより、すべてのセルの容量を均一に近付けたほうが、バッテリーパックとしては性能が安定するらしい。
ガソリン価格が高騰する今、クルマの燃費を改善する手段はクルマの維持費を抑えるのが目的だから、バッテリーさえ交換できれば乗り続けられるハイブリッド車にとって、安く能力を復活できるリビルドバッテリーは非常に有効な手段。
これが一般に周知すれば、ハイブリッド車の下取り価格もより安定することにつながるだろう。
トヨタが信頼性、耐久性を第1に考えてニッケル水素を採用し続けただけあって、20プリウス以降のバッテリーはかなり耐久性が高くなっているが、それでも販売台数が多く使われ方もさまざまなだけあって、バッテリー交換が必要なハイブリッド車は増えているようだ。
トヨタのハイブリッド車でも、多くの車種がリビルドバッテリー交換業者のメニューに掲げられていることからも、その需要が窺い知れる。ながのテクノでも、アクアやカローラ ハイブリッド、レクサスCT200h、クラウン ハイブリッド用などをラインナップしており、今後も対応車種は拡大していく計画だ。
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