■今やハイト系ワゴンにも両側スライドドア仕様がマストとなってきた
一方、ハイト系は全高1600mm台のなかで寸法はメーカーによって異なる。全高の高さ=室内高は高いほうがいいが、スーパーハイトモデルたちほど高くなくてもいい。でも、狭い駐車場での乗り降りの際などで隣のクルマに気を遣わなくていいという安心感もあってスライド式ドアが好まれる傾向がうかがえる。
そんなスライドドアの開口幅600mmやリアのステップ高345mmはすでにスペーシアで定評のある広さや高さを採用し、乗降性にも優れる。また、大きな荷物やお子さんを抱っこして車外で出る際などに便利な「パワースライドドア予約ロック機能」なども備えているのも便利。
ハイト系モデル+スライドドアの人気ぶりの裏づけと言えるのがダイハツムーヴキャンバスだ。元祖ムーヴには採用していないスライドドアをこのクラスとして初採用したこちらも、個性的なデザイン(しかも8割の方が個性の強いストライプカラーを選ぶらしい)とともに今やムーヴのなかでも圧倒的に
■ワゴンRとムーヴハイト系ワゴンの2TOPがともにスライドドア搭載車が人気の中心に!!
ハッキリ言ってしまうと、この2台のキャラは似ている。が、スマイルが登場したことで比べた結果、ダイハツのムーヴキャンバスを選ぶ相乗効果を生んでいるのも間違いない。
スマイルはキャンバスに対して全高が40mm高く、これはスズキのなかではワゴンRより45mm高く、同社スーパーハイトのスペーシアに対し90mm低い。全高のバリエーションがさらに広がった。しかもハイト系モデルたちのなかでは現在では最も全高=室内高が高いというのも絶妙にニーズをくすぐっているのではないか。
スライドドアはコスト増が車両価格に載っかるうえに車重も重くなり、燃費にも影響する。それを承知のうえで選ばれる理由をスズキも「スライドドア効果」だと言っている。しかもそれまでワゴンRは男性ユーザーのほうが多かったそうだが、今は7割がワゴンRスマイルを選ぶ。
■内装のそこかしこにさりげないこだわりに思わずスマイルがあふれる
その魅力のもうひとつがデザイン性とそのクォリティだ。スクエアなボディは見るからに見切りがよさそうであり、いっぽうで角を丸め、ボディ全体の柔らかな印象も製造品質もよく保たれている。楕円のキラッとつぶらなライトがチャーミングな目力を発揮しているところも付け加えておきたい。
スズキディーラーのショールームにハスラーやクロスビー、アルトラパンというオシャカワ系のモデルとともに並んでいても見映えするし、個性もあり、品質面では先発のモデルには申し訳ないが、ニューモデルほど進化している印象も抱けるかもしれない。
スズキのデザインの「魅せ方」は確実に昇華している。樹脂を多用しながら、表面処理の仕方やいたずらに艶を出さないセンス、それに例えば、インテリアのドアトリムやインストルメントパネルには他モデル同様に樹脂を採用しているが、そこにステッチのアクセントが効果的に採用されている。
でもコレは本物の糸ではなくステッチ風なのだ。それが決していかにもな感じに見えず、自然であり、個性の演出にひと役買っている。天井のキルティングのモチーフ、ファブリックシートの素材感も柔らかく質感が保たれている。
デザインの質感や世界感はこういう小さなことの積み重ねを妥協しないことが大事であり、スズキの軽自動車の小さな世界を満足度も高く楽しめるに違いない。ちなみにリアシートのスライド長は160mm、分割式シートの背もたれを畳むことでラゲッジのフラットな収納スペースを拡大できる。
今や軽自動車のハイト系モデルの数値を超える広さ感の演出とパッケージングの創意工夫はまさに日本車の機能美と言ってもいいくらい。それはスマイルのみならず、と言っておきたい。
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