■昨年の中国のNEV(新エネルギー車)販売数は352万台。全体の13%
習近平総書記が第19回共産党大会を開く半年前の2017年4月、中国国務院は「自動車産業中長期発展計画」を発表した。
そこには、「2025年に自動車強国になる」との目標が明示された。
第19回共産党大会をつつがなく終えて2カ月後の同年12月、習総書記は「これから3年かけて、『3つの戦い』に完全勝利していく」と宣言した。
「3つの戦い」とは、貧困撲滅、大気汚染撲滅、そして金融安定である。
実際、中国政府の強力なEVシフトとともに、都市部の大気汚染問題は、目に見えて解決していった。
私は、習近平時代の10年で最も評価するのが、あれほど中国の都市部を悩ませていた大気汚染を撲滅したことだと思っている。
その何割かは、EVシフト政策の賜物だ。
2020年から中国全土で新型コロナウイルスが蔓延すると、EVシフトにさらに拍車がかかった。
それは、EVの価格が下がってきたこと、遠乗りをする機会が減ったこと、さらに、国産品購買運動が起こったことなどによるものだった。
昨年の中国のNEV販売台数は352万台を超え、全体の13%まで伸びてきた。
世界全体のNEVの約半数が中国で販売されており、その存在感は圧倒的だ。今年はいよいよ500万台を突破するとの予測も出ている。
それとともに、さらに勢いを増し続ける「中国ブランドNEV」は、日本を含む海外にも着々と輸出を始めた──。
(全4回の第2回。第3回(12日(木)20時公開)に続く)
●近藤大介…1965年生まれ。東京大学卒業、国際情報学修士。講談社『現代ビジネス』『週刊現代』特別編集委員、編集次長。主著に『ファクトで読む米中新冷戦とアフター・コロナ』(講談社現代新書)、『アジア燃ゆ』(MdN新書)ほか
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