【5年前までは?】 マツダは「職人気質で商売下手」。
〈以前の評価〉
「マツダってクルマのデキはいいけど、どこか野暮ったいイメージ、ディーラーの販売も下手なような……」
〈最近の評価〉
かつてのマツダは不器用で職人気質。走りのメカを中心に、技術的に優れた商品を丹念に製造していた。この印象が先代CX-5が発売された2012年以降違ってきたと感じるが、本質に変わりはない。熟成を図り選択と集中を行っただけ。変わったのは商品の周辺で、店舗はオシャレになりブランド構築も入念に行う。ただし肩に妙な力が入り、初期のレクサスに似た理屈っぽさを感じる。気軽さが消えた。
(渡辺陽一郎)
【15年前までは?】 クラウンってオヤジが喜んで乗るクルマでしょ?
〈以前の評価〉
「いつかはクラウン」路線でオヤジが金を貯めて買うクルマ。乗ればいいけど、外見にワクワクすることはない。
〈最近の評価〉
昭和には分別のある本当の大人が多かった。だからクラウンも子供には太刀打ちできない大人のクルマで、子供達は「オヤジグルマ」と陰口を叩いた。しかし今は、私を含めて50代でも進歩の乏しい「幼い大人」が増えた。もはや「勝てないオヤジ」は存在せず陰口も叩かれない。クラウンは幼い大人を対象に忠実に開発され、2003年のゼロクラウン以降は走りも楽しい「普通のよいセダン」になってしまった。
(渡辺陽一郎)
※こちらの記事もどうぞ!→【王者の苦悩】クラウンはなぜ「おっさん向け」と言われてしまうのか?(2018.7.30)
【20年前までは?】 スカイラインはスポーティなクルマの代名詞!
〈以前の評価〉
「若者にはシルビア、その上にスカイライン。スポーティさと大人っぽさを併せ持つ、まさに日本の名車だぜ!」
〈最近の評価〉
今の日本市場ではセダンとスポーツカーのシェアはずっと低空飛行。そういう意味では、スカイライン本来の持ち味だったスポーティセダンというジャンルは、すでにオワコンということ。スポーツカーなら86かロードスター、プレミアムセダンは輸入車、そして安いセダンならマークX。スカイライン独自の魅力に欠ける。日本市場に踏みとどまるには抜本的なコンセプト再構築が必要だと思います。
(鈴木直也)
【番外コラム】 今は高評価。でも将来大丈夫? EVと電池
バブルと表現したいほどのEVブームだが、その成否の鍵を握るのは電池の性能。トヨタが全固体電池の技術を発表して話題になったように、大きな技術革新がこれからひと山もふた山もありそうだ。
しかし、「まだまだ伸び代がある」というのは、技術的には夢があるが事業としては難しい。
EV時代が本当に到来したら、必要となる電池はケタ外れに拡大する。そのためには大規模な生産設備が必要となるが、ある日、画期的な新電池が発明されたりすると、莫大な投資がアッという間に不良資産化する。
電池の自社生産で先行した日産は、すでに生産子会社を売却して撤退。VWなんか「6.5兆円分の電池買うから、自信のあるサプライヤーは応募してきて!」なんて異例の逆オークションをやってる。
このあたりがEVが本当にテイクオフするためのネック。みんな大規模投資にビビってるから、大量の電池が必要となった時の供給体制にメドが立たないのだ。
そういう意味では、自前主義を貫いているテスラは立派といえば立派。ただし、大きな技術変動が来ていちばん損害を被るのも、やっぱりテスラなんだけどね。
(鈴木直也)
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