知ってそうで知らなかった! 目からウロコのナンバープレートの知識

■ナンバープレートの歴史をひも解く

 ナンバープレートは、クルマの登録制度の根幹を成すものとして昭和26年の道路運送車両法制定時から現在に至るまで、形状や表記される項目について大きな変更なく運用されてきたが、近年はさまざまな要望を取り入れるなどナンバープレートをめぐる環境は少しずつ変わってきている。

ナンバーの歴史は日本のクルマの歴史でもある。街中で古いナンバープレートを見つけた時は、車種も希少なものであることが多い
ナンバーの歴史は日本のクルマの歴史でもある。街中で古いナンバープレートを見つけた時は、車種も希少なものであることが多い

 最もわかりやすい変化として挙げられるのが、「希望ナンバー制」と、地域名を表示した「ご当地ナンバー」だ。希望ナンバーは、特定の番号を取得したいというニーズが高まっていたことを受けて設けられた制度で、1999年5月から全国で実施されている。

 自家用・事業用の登録自動車と自家用の軽自動車なら4桁以下のアラビア数字(1~9999)の部分のみ好きな数字にできるが、希望できる番号には抽選対象希望番号と一般希望番号とがある。

 抽選希望番号は全国一律の13通りのほか、特定の地域名表示に限った抽選対象希望番号が追加設定されており、毎週1回抽選が行われて当選したユーザーのみ取得できるというわけだ。

 それからご当地ナンバーは、正式名称を「新たな地域名表示ナンバープレート」といい、2006年に地域振興や観光振興等の観点から導入された。2018年には名産品や景勝地のイラストをナンバープレート内にデザインした車用の地方版図柄入りナンバープレートが交付されている。

 種類・用途による分類番号は1~3桁の数字によって軽貨物自動車や小型乗用車などの用途車種を表示するもので、1桁目の数字によってクルマの用途車種が見分けられ、一般的な乗用車の場合5ナンバーと3ナンバーに類別される。

 5ナンバーとは、排気量が2000cc以下(ディーゼル車は基準なし)で、ボディサイズについては全長4700mm以下、全幅1700mm以下、全高2000mm以下の車両が該当する。この基準がひとつでも超える車両は、3ナンバーとなり、同一車両であってもグレードによって5ナンバーだったり、3ナンバーだったりすることがある。

 以前は「3ナンバー車は税金が高い」とされていた。実際、1989年に自動車税の課税方式が排気量の細分化や排気量のみで課税される方式に変更される以前は、全長が4700mm以上、全幅が1700mm以上、全高2000mm以上、総排気量が2000cc以上の3ナンバーに課せられる税金は、排気量が3000cc以下で8万1500円、3000cc以上、6000cc以なら8万8500円。さらに6000ccを超えると14万8500円だった。

 これが5ナンバー車となると、排気量が1000cc以下なら2万9500円、1000cc以上、1500cc以下で3万4500円、1500cc以上、2000cc以下は3万9500円だった。つまり2000ccの3ナンバーなら8万円という、現在のおよそ2倍の租税が課されていたわけで、3ナンバー車が贅沢品と揶揄されていたこともうなずける。

 現在は自動車にかかる税金は、自動車税が排気量を基準に、自動車重量税は車両重量、環境割は環境性能によって決められているので、5ナンバーだから安いとか3ナンバーは高いという定説は当てはまらなくなっている。

■希望ナンバー制度の登場で見られた変化

 分類番号も近年は変わりつつある。そもそもナンバープレートは、使用の本拠、分類番号、判別文字、そして4桁の指定番号による組み合わせがひとつの登録番号を構成しており、同一の登録番号は存在し得ないという性質を有しているはずなのだが、希望ナンバーが導入されたことによって、人気のある指定番号と組み合わされる分類番号が枯渇してしまった。

希望ナンバーの例。自分の誕生日、語呂合わせ、その車種にまつわる数字など、選び方は人によってさまざま
希望ナンバーの例。自分の誕生日、語呂合わせ、その車種にまつわる数字など、選び方は人によってさまざま

 そこでナンバープレートの一意性を維持するという観点から、アルファベットを使った分類番号が交付され始めたわけだ。分類番号に使われるアルファベットは視認性の問題からA/C/F/H/K/L/M/P/X/Yの10文字とされ、「30A」や「50A」のように下1桁を「A」から順番に当てはめられている。

 それから、ナンバーに関連して意外に知られてないこととして「仮ナンバー」についても触れておこう。仮ナンバーとは、車検切れなどで公道を走行できない車両を運行する場合、暫定的な走行許可を与えるナンバープレートのことで、正式名称を「自動車臨時運行許可番号標」という。

 本来、未登録自動車の新規検査・登録や車検切れ自動車の継続検査を受けるために運輸支局などまで運行する場合などを特例的に許可するために、市町村などが貸し出すものだ。

 有効期間は道路運送車両法35条によって定められており、「運行の目的・経路等から常識的に判断される必要最小限の日数」で5日間を限度とされている。運行経路についても、出発地・経由地・目的地のいずれかに申請する市町村の住所が含まれていなければならないなど、かなり厳しい規定が設けられている。

 優良ドライバーや愛車を大切にしているオーナーにとっては縁のないものだが、万が一車検が切れたり、ナンバーを盗難されたりした時に、クルマをディーラーや自動車整備工場まで持ち込む必要がある時には、仮ナンバーがないと運行はできないので、その存在は覚えておいたほうがいいだろう。

 ナンバープレートは道路運送車両法第19条によって車両の前方と後方の見えやすい部分に取り付けることが義務付けされている。

 2016年4月の法改正以降、ナンバープレートを必要とするすべての車両を対象に、ナンバープレートカバーの装着やシールなどの貼り付け、回転や折り返しての装着等、番号の認識に支障が生じる方法がすべて禁止され、違反した場合には、懲役刑として最大で3年以下、罰金刑では最大100万円以下に処される。知らなかったでは済まされないのでぜひ注意してほしい。

 一見すると単なる文字や数字の羅列に思えるが、それらは車両の分類を合理的に行っていたり、ナンバープレートを装着していることによって車検に適合していることや自動車の保管場所、クルマに関する税金(重量税)を納付したことの証明にもなる。

 なおかつ、ナンバープレートの一意性は、レンタカーの乗り逃げや乗り捨て、轢き逃げや速度違反などの違法行為がなされたときなどには犯人の特定に役立つ。

 かつては無味乾燥な四角いプレートで、数字も自動的に与えられるだけだったが、今どきは希望ナンバー制度や個性的なご当地ナンバーによって、これまでの役割に加え、カーライフに彩りを与えるアイテムという一面を持つようになったと言えるだろう。

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