ETC装着率は何パーセント? ”次世代”ETC2.0にメリットなし? ETCを取り巻く”今”に迫る

 いまやほとんどのクルマが装着しているETC車載器。高速道路でも「一般レーン」を通るクルマの数はあまり多くない。

 もはやETCは高速道路通行の必須アイテムになっているのだが、近年はETC2.0が登場している。

 結局「ETC2.0だけが料金割引の対象になりまーす」みたいな展開になるんじゃないの? という担当のうがったギモンから始まったこの企画。

 いまいちどETCについて振り返りつつ、今後の見通しについてジャーナリストが調査しました。

文:永田恵一/写真:ベストカー編集部


■装着率90%オーバー!! ETCはもはや必須アイテム化

 高速道路や有料道路の料金所をノンストップで通行できるETC車載機は、ABSと同じくらいクルマに「付いていて当たり前」の装備である。

 ではETCがどのくらい普及しているのだろう。料金所をETCで通過した利用率という統計になるが、2018年6月で91.5%まで高まっている。

 2001年の導入当初は1%にも満たなかったETC利用率ながら、後述するようにETC利用による料金割引が始まって以来利用率も大きく伸びた。

 途中東日本大震災があった時期に僅かに低下したものの、その後も伸び続け現在に至る。

ETCレーンのほうが圧倒的に数が多い高速道路の料金所。便利だが機械トラブルでの追突なども増加しているのも事実

 はじめにETCの歴史を簡単に振り返ると、実証実験などを経てETCの利用が一般的に可能になったのは2001年11月のこと。

 2000年登場の3代目セルシオは高級車なのもあり、ETCのスタートにいち早く対応しディーラーオプションで設定されていたのを思い出す。

 とはいえ、当初は車載機の高さやETCカードなどの手続き関係の手間、さらに当時はハイウェイカードというプリペイドカードがお得だった。

 なんせ3万円なら2500円分、5万円なら8000円分のオマケ付きで販売されており、ハイウェイカードを使った方が得だったこともありETCの普及は進まなかった。

 そんな状況下でETC普及の大きなきっかけとなったのが2004年あたりから始まった通行料金の割引だ。

 これにより「車載機代を払っても割引で元が取れる」→車載機が売れる→車載機の価格も下がるという好循環が起き、ETCの普及に拍車が掛かった。

 せっかくの機会なのでETCを使うメリットをおさらいしたい。

・料金所でのタイムロスがなくなる、渋滞緩和、燃費の向上

・スマートICと呼ばれるSA、PAなどに設置される簡易な出入り口を利用でき、目的地までの距離短縮に

・都市高速や東京外環道での距離制料金、一般高速道路での休日割引や深夜割引、東京湾アクアラインといった割引料金の適応

・加入が必要となるが、ETCマイレージサービス(ポイントカード的なもの)の利用

 などが挙げられる。これだけのメリットと価格のバランスを考えれば、ETCの利用が冒頭で書いたように90%を超えるのもよく分かる。

■ETC2.0も登場したがメリットはかなり薄い

 さらにETCのバリエーションにはここまで書いた通常型だけでなく、ここ2年ほどでETC2.0というものも加わった。

 ETC2.0はITS(高度道路交通システム)の道路側のアンテナとなるETCスポットとの通信によりETCを利用した機能を拡張させた、いわばETCの進化版である。

 現在通販なら1万5000円から2万円台前半、ディーラーオプションなら3万円程度と高価なETC2.0が通常のETCに対し加わる機能は多い。

(1)情報提供サービス

ETC2.0車載機、ETC2.0対応のカーナビやスマートフォンと接続により、ITSスポットからの急カーブや滑りやすい路面などの事前注意喚起。地震発生時などの災害時支援

(2)渋滞回避支援

ITSスポットから最大1000km分の道路交通情報が提供されることを生かした、ETC2.0対応のカーナビとの接続のよる「遠回りだけど到着は早い」といった臨機応変なルート案内

(3)同一インターからの一時退出、再進入が可能

まだ全国展開はされていないが、対象となるインターチェンジ、インターチェンジ近くの道の駅の利用のため、1時間以内であれば高速道路を一度出た際に掛かる初乗り料金なしで一時退出、再進入できる

(4)コインパーキングやフェリー乗船といった料金支払いの際の無線通行

現在対応しているのは僅かなスポットで、ETCクレジットカードとは別のクレジットカードが必要となる上に利用開始のための手続きも必要になり手間が多い

(5)圏央道の約2割引き

 以上のメリットが挙げられる。さらに今後ETC2.0使用車に対し導入が予定されているサービスもあるという。

(A) 渋滞、事故、給油のため高速道路を一時退出、再進入した際に、初乗り料金なしでストレートで走行した場合と同じ料金の適応

(B) 同じ目的地に行く場合に渋滞回避のため「空いているけど遠回りかつ料金がかさむルート」を走った場合に料金が割引になるサービス

 が計画されている。しかし将来的に導入されるものも含め、ETC2.0を導入するメリットを客観的に考えてみたい。

・(1)は確かに有用ではある

・(2)はスマートフォンやカーナビなどで渋滞情報を確認してルートを考えれば済む感は否めない

・(3)と(A)は一度高速道路を一時退出、再進入した場合に初乗り料金が掛からないのはいいが、正直な話、初乗り料金はかなり少額なのも事実

・(4)の普及の時期をETC2.0を管轄する国土交通省ITS推進室に聞いてみると「民間の駐車場や店舗と協力が必要になるものなので、普及は民間次第」とのこと。民間に任せっきりでは難しいか。

■今後はETC2.0が義務化される日が来るか?

 まとめるとETC2.0には圏央道の料金約2割引きしか目立ったメリットはなく、圏央道を頻繁に使う人以外は購入代金の元を取れるとは思えない。

 さらに将来的な展開もかなり不透明なことを総合すると、ETC2.0は今わざわざ購入する必要は薄い。

 現在使っている通常のETCが故障した、クルマの乗り換えでETCも買い替える際に割引なども含め納得できる値段で買えるなら導入すればいいというのが率直な結論だ。

 なお、うがった見方をすると「ETC2.0の普及のため、通常型を含めETCを使う大きなメリットである料金割引がETC2.0だけになるのではないか」ということも考えてしまう。

導入当初は将来的にはコインパーキングなどもETCで決済ができると言われていたが、未だにほぼ実現していない。ETC2.0の付加サービスは現状では魅力なし

 この点も国土交通省ITS推進室に聞くと「そういったことはないと思っていただきたいて結構です」とのことだった。

 いずれにしてもETC2.0は、ここまで投資したことを考えると今後「ユーザーが積極的に導入するような魅力あるサービスで普及を推進するべき」という意見が国交省には多いだろう。

 いっぽうで「無闇な投資はしないべき」という道を歩むべきなのか、なかなか難しい岐路にあるような気がする。

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