マツダ渾身の新コンセプトが空回り気味…いいクルマなのに!! MX-30の魅力と長所と課題

マツダ渾身の新コンセプトが空回り気味…いいクルマなのに!! MX-30の魅力と長所と課題

 屋台骨であるCX-5を中心に、SUVラインアップを充実させているマツダ。2022年4月には、新型クロスオーバーSUV「CX-60」の日本仕様も公開になっている。

 だが、独特のコンセプトとメカニズムが魅力の「MX-30」は、販売がよろしくない状況だ。2022年の販売台数は、1月170台、2月268台、3月295台と、その他の同社SUVはおろか、2シータースポーツであるロードスター(月販平均で1000台(2022年1月~3月)は売れている)にさえ、遠く及んでいない。

 なぜMX-30は売れていないのか。MX-30というクルマを振り返りつつ、販売が思わしくない原因について考察していく。

文:立花義人、エムスリープロダクション
写真:MAZDA

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「人間らしい」「自然体」がコンセプト

 MX-30の開発コンセプトは「Human Modern」。どこか人間らしく、一緒にいることで落ち着く、いつまでも見ていたくなるようなクルマを目指して開発されたそうだ。

 MX-30のデザインは、その他のマツダ車同様、基本的にはマツダのデザインコンセプト「魂動(こどう)」に基づいてはいるが、構成をシンプルにしてフロントフェイスを親しみやすい表情にし、親近感のある佇まいとしている。インテリアもフローティングさせたコンソールとサステナビリティをテーマとした個性的な素材を使用することで、開放感を感じさせる空間に仕上げられた。コンセプトやデザインからも、かなりチャレンジングなモデルであることがわかる。

 そして最大の特徴が、「フリースタイルドア」と呼ばれる観音開きのサイドドアだ。日々の生活の中で身近な公園に立ち寄り、フリースタイルドアを全開にして外を眺め、風や鳥の声をBGMにしながら自分らしさを取り戻してください、というイメージをマツダ流に具現化したアイテムとなっている。

MX-30の「フリースタイルドア」は、観音開きの特徴的なサイドドア。全てオープンにすると開放的な居心地を楽しめる

サステナブルと上質感を両立させたインテリア

 コンソールに必要な操作部を集約し、周辺の本体から切り離したようなデザインが特徴のフローティングコンソールは、浮かせることで生まれた空間を収納スペースとして活用し、助手席乗員とのつながり感を生む空間としても機能する、独特の演出だ。

 前述したように、インテリアに使われている素材はサステナブルな物がふんだんに使用されている。例えば、コンソールトレイとドアグリップには「ヘリテージコルク」が使用されている。樹木を伐採することなく樹皮を採取して生産されるコルクだが、MX-30ではさらに、コルク栓を生産した端材を使用。また、ドアトリムのアッパー部分は、原料にペットボトルのリサイクル原料を使用。従来の樹脂や革の表現とは異なり、物自体が空気を含んだかのような風合いに仕上がるのが特徴で、素材による開放感を表現している。

 他にも、リサイクルファブリック、プレミアムヴィンテージレザレット(人工皮革)など、環境に配慮しながら自然の風合いを大切にする素材を使用しつつ、最高級品に劣らない上質感を演出している。

バッテリー容量も「環境を考えて」

 一方で、MX-30は、マツダの電動化戦略のベースモデルとして開発されたモデルでもある。国内仕様ではまず24Vマイルドハイブリッドのパワーユニット「e-SKYACTIV G」が用意され、2021年1月末には、バッテリーEVの「MX-30 EV MODEL」が追加された。

 ホイールベース内のフロア底部にリチウムイオンバッテリーを搭載し、フロントモーターで前輪を駆動する。総電力量(バッテリー容量)は35.5kWh、一充電あたりの走行距離はWLTCモードで256kmというスペックだ。

 長距離移動をするには、かなり心許ない航続距離だが、マツダの説明によると、LCA(ライフサイクルアセスメント)の評価によって、この容量を決めたという。バッテリーEVは、走行中のCO2排出量は「ゼロ」だが、バッテリーの製造過程や廃棄まで含めたトータルでの環境負荷を考慮すると、現在の技術では、この容量でなければ総合的にCO2排出量が増えてしまう計算になる、とのこと。ここでも「環境にやさしい」を最優先に決めたようだ。

 マツダの安全思想に基づき、ワンペダルドライブは採用していないが、MX-30 EV MODELには、ドライバーのアクセル操作やブレーキ操作に応じて出力やブレーキ特性を適切にコントロールする協調制御や、より正確に車速をコントロールするために、モータートルクに同期したサウンドをつくることなど、バッテリーEVであってもマツダらしく「人馬一体」を体験できる工夫は、随所に散りばめられている。

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