■アメリカではMTのことを「STICK SHIFT」と呼ぶ
しかし、アメリカではMTのことを「STICK SHIFT」(スティックシフト)と呼び、それを運転できるドライバーに敬意を持つ人が多く、私自身、アメリカ人の知人に「スティックを運転してるの!? 」などと、アメリカ人らしい大きなリアクションとともに尊敬? されたことがあります(笑)。
また、コロナ以前は毎年40万人がインディ500レースを観戦するようなモータースポーツ好きであるアメリカ人はやはりスポーツカーに乗り、スティックシフトを駆使して速く走らせることに憧れがあるようです。ですから、MTを運転することはポジティブに捉えられることが多く、「変わり者」と扱われることは、ほぼないのです。
また、若い頃に古くて壊れるクルマに乗ることが多いのも幸いして? 自分でクルマを触ることも多く、クルマの基本構造や走る原理などを自然と覚える人が多いのも確かです。
これが、インテグラのMTが売れている直接の原因かどうかはわかりませんが、スティックシフトのカッコイイクルマに乗る、というのが、この時代にあって、クールに思えるのではないでしょうか?
しかも一度慣れてしまえば、ダイレクトに加減速をコントロールできて、まさに自分の手足のようにクルマを操れることをアメリカの多くの人が知っているのが私としては羨ましいかぎりです。
■多くの日本人にとってはクルマは単なる移動のための道具
日本では「渋滞が多いから」という理由でMT車から離れる人が多い、と言われますが、アメリカでもヨーロッパでも都市部はかなり渋滞はしますし、要は日本の多くの人にとって「クルマ」が単なる移動のための道具になってしまったからだと思います。
日本メーカーも、欧米では設定を残しているMTを「国内では売れないから」という理由で日本では絶滅させていきましたが、MTの運転の楽しさを訴求することもなく、コストの面からなくしていったという背景もあると思います。
結果、「楽しいから」という理由でクルマを購入することがなくなり、「無理をしてまでクルマを買う」というユーザーがいなくなり、日本メーカーが自らの首を絞めてしまったのではないかと私は思っています。
■MTはすぐには絶滅しない
「クラッチを踏んでシフトレバーを適切なギヤポジションにエンゲージしてクラッチを繋ぐ、その際、ブリッピングして回転を合わせる場合もありますが、それでスムーズに加速した時の快感を知らないなんて!」なんて叫んでも日本では「??? 」という反応しか返ってきませんが、実は欧米では「わかる!」という反応が返ってくることが多いんです(実際に経験ずみ)。
さて、そんなMTですが、今回のインテグラの例にもあるように、まだ内燃機関と同様に、今すぐ絶滅する、という訳ではなさそうです。
カタログ燃費はともかく、上手いドライバーが運転すれば燃費もよくなりますし、何と言っても「運転を楽しむ人」が絶滅しないかぎりは、存在し続けるのではないでしょうか?
実際に運転を楽しむ人が多いヨーロッパではいまだに半分はMTのクルマが走っていますし(それでも近年、減りましたが)、アメリカでも存在感を示しています。
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