マイカーの外見や性能を、ユーザーの好みに合わせて変えることができるチューニング。しっかりと法規内で楽しんでいるだけなのに、新車購入したディーラーで、チューニングを理由に入庫拒否されたという話を聞くこともある。
なぜチューニングカーに対して、入庫を断るディーラーが多いのか。令和のディーラーとチューニングの事情を探っていく。
文/画像:佐々木 亘
【画像ギャラリー】ディーラーでチューニングはできる?合法パーツもアウトな場合はなぜおこる?(4枚)画像ギャラリー■疑わしきものは全てクロ? 恐怖の指定取消
不正改造・違法改造と呼ばれるクルマがあるが、これは道路運送車両法の保安基準を満たさない車両のことを指す。
保安基準は、「事故を起こさないため」「事故の被害を最小限に抑えるため」「クルマの公害を防止するため」に定められており、クルマのサイズ、最低地上高、重量や荷重、エンジンやミッション、ブレーキ、灯火装置、マフラーなどに対して、安全に車両運行ができる数値や色などを具体的に定めたものだ。
ディーラーなどの指定整備工場が、不正改造車に対して適合標章を切り、車検を通した場合、指定取消といった重い行政処分が下る。目視で基準内と判断していたクルマが、実は不正改造の状態だったと後から判明し、罰則を受ける例は、現在も多い。
このような事態を避けるため、純正状態以外のクルマに対して、神経質になるディーラーが増えているのだ。
■チェックに時間がかかるから、入庫を断る
分刻みのスケジュール管理が行われているディーラーの整備工場。時間通りに作業を終えるためには、ルーティン作業から逸脱しないことが重要だ。チューニングカーのように、法規内か否かを測定によって判明させなければならない状態のクルマは、ルーティン作業以外に測定という時間が入るため手間がかかる。
ならばいっそのこと、純正状態以外のクルマは、全て入庫拒否すると決めてしまったほうが、ディーラーとしては楽になるのだろう。こうした理由から、チューニングしたクルマを診てくれるディーラーは少なくなってきた。
ただし、お店によって対応は大きく異なるのもまた事実。筆者が所有していたスイフトは、吸排気、エアロ、補強パーツ、シート交換など、社外のチューニングパーツだらけだったが、お世話になっていたスズキ正規ディーラーでは、快く整備・車検を引き受けてくれた。
一様に断るのではなく、「これはOK」「これは不正改造だから直してください」と復元のお願いをするのも、自動車整備を生業とするディーラーの仕事だと筆者は思う。
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