日本の道路や駐車場の広さは変わらないのに、最近のクルマは立体駐車場でギリギリの全幅1850mmを超えるものも少なくない。そこで、幅広のクルマは嫌いだが小さいクルマで妥協したくない人に、自動車評論家3名が「ちょうどイイサイズ」のクルマをご紹介。
※本稿は2022年4月のものです
文/片岡英明、飯田裕子、清水草一、写真/ベストカー編集部 ほか
初出:『ベストカー』2022年5月26日号
■片岡英明のイチオシ7台
●片岡氏のオススメ
・スバル インプレッサ
・トヨタ ノア/ヴォクシー
・スバル BRZ
・スバル レヴォーグ
・スバル インプレッサG4
・VW ゴルフ
・メルセデスベンツ Aクラスセダン
全長が長いレヴォーグ(スバル)はボディの大きさと4WDであることを意識させない機動性の高いスポーツワゴンだ。
意のままに運転でき、取り回し性も優れている。ボディの四隅が把握しやすいし、斜め後方の視界もいいから駐車に苦労することもない。上質な操舵フィールと優れた接地フィールも大きな魅力。
ノア/ヴォクシー(トヨタ)は全幅を広げたが、先代から乗り換えても違和感はなかった。ロングホイールベースだが、とても扱いやすく感じる。
運転席からの視界と視認性に優れ、スライドドアだから狭い場所の駐車も無理なくこなす。取り回し性のよさに加え、走りの実力も高いレベルにある。
インプレッサG4(スバル)はセダンの見本のようだ。運転席からの見晴らしはいいし、四方の死角も上手に抑え込んでいる。また、狙ったとおりにクルマが動き、バックもしやすい。
ベンツのAクラスセダンも運転に慣れを必要としない自然な乗り味が魅力だ。ビギナーでも持て余さないだろう。特にリアにマルチリンクを採用したA250系は上質な走りを見せ、快適性も高い。
カローラツーリング(トヨタ)は日本の交通事情に合わせた全幅にした良心的な設計が光る。気を使うことなく運転でき、キャビンも満足できる広さだ。
ゴルフ(VW)は国産車から乗り換えても違和感なく運転できる。すべてが軽やか。
FRスポーツクーペのBRZ(スバル)は、低い運転姿勢にもかかわらず自然な感覚でクルマが動き、身のこなしは機敏。取り回し性も優れている。

■飯田裕子のイチオシ5台
●飯田氏のイチオシ5台
・スバル XV
・スバル インプレッサ
・日産 セレナ
・VW ポロ
・ホンダ フィットクロスター
全幅にこだわった「イイクルマ」と聞いて実用車を考えました。
幅が狭ければいいというワケではないなぁ、と思いながら頭に浮かんだのが視界(リアウィンドウ含む)からくる安心感。人間の“見る”とも違う“視界で感じる”感覚って大事だと思うのです。
次にデザイン。私がいつも通る狭い路地をお借りしたクルマで“左折”する際、幅の狭いまたは最小回転半径の小さなクルマは気負わずに曲がりやすい。一方、比較的コンパクトで視界もいいのに不安を抱くモデルもある。
スペース効率や衝突安全性との兼ね合いもあってなかなか難しいのですが、ダッシュボードの奥行きが長く、運転席(右)からボディ左バンパーの位置が遠く感じて把握のしづらいタイプはちょっと苦手です。
「0次安全」にこだわるスバルはセンサーなどに頼る前に視界のよさや取り回し性にこだわったクルマづくりを実用モデルには採用しているのがイイです。
物理的に全長の長さは実用上必要なミニバンも視界の良好さや運転のしやすさがイイクルマになりうる好例がセレナ(日産)。コンパクトでも視界は重要。デザインも犠牲になっていないポロ(VW)とフィットクロスター(ホンダ)を選びました。