■ホンダレジェンド(4代目モデル/2004年、5代目モデル/2014年)
1985年に初代モデルが登場したレジェンドは3代目モデルこそ印象が薄いが、ホンダ初の高級車かつ当時のローバー800と兄弟車だった初代モデル、1990年登場でFFミドシップ構造を採用し、日本車初の助手席エアバッグを設定するなど安全性に注力した2代目モデルと、以前から意欲的なモデルだった。
それは近年のモデルも同様で、2004年登場の4代目モデルは前後の駆動力が可変となるトルクスプリット4WDなのに加え、後左右輪の駆動力は理論上0:100から100:0まで調整可能なSH-AWDを採用。エンジンも長年日本車のカタログモデルが自主規制されていた280ps規制解禁1号となる300psの3.5LV6を搭載した。
2014年登場の5代目モデルも3モーターハイブリッドでSH-AWDを進化させ、昨年リース販売という形ながらレベル3と呼ばれる高速道路での渋滞中の自動運転を実現した、ホンダセンシングエリートを搭載し、歴史的なモデルとなった。
しかし、4代目と5代目のレジェンドは、4代目モデルではSH-AWDの熟成不足や3.5LV6のトルク不足、5代目モデルはインフィニティQ45のように高級車の基準車としてはスポーツ性に振りすぎた感に加え、このクラスにおけるホンダのブランドイメージの薄さを最大の理由に、どちらも販売は低調に終わった。
ただ、レジェンドは最近絶版となったが、この記事に登場するクルマたちのほとんどが直接的な後継車なく一代かぎりで終わったのに対し、レジェンドは4代目モデルと5代目モデルの間に約2年間の空白期間があっただけで30年以上継続されたことは大いに称えるべき点である。
■トヨタiQ(2008年)
iQはスマートフォーツーのような、シティコミューターとしての使用を中心に想定したマイクロカーである。iQはスマートフォーツーに近いモデルではあるが、大きな違いは全長約3mという全長ながら、リアシートを設け4人乗りとしたことだ。
4人乗りとするため、iQはデファレンシャルの位置の反転、上置きのステアリングギアボックス、超薄型燃料タンクの採用、エアコンの小型化といった新技術が多数盛り込まれ、このサイズにもかかわらず短時間なら充分座れるリアシートを得た。
当時、1L3気筒エンジンを搭載したiQの価格は140万円からと、今になって盛り込まれた技術を考えれば納得できるところもある値付けではあった。しかし、「140万円払うならちゃんと4人が乗れる軽自動車や、フィットのような広いコンパクトカーの方がいい」と一般ユーザーの多くが考えるのは当然で、iQの販売は伸び悩み、2016年に絶版となった。
また、iQで珍しいのはトヨタというメーカーは失敗作からも継続してやがて成功する、教訓や技術的なフィードバックを得るなど、何らかの元を取るものだが、iQにはそういった印象が薄い。その意味でもiQはトヨタとしては異例なモデルと言えるのかもしれない。
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