やはりISO方式が原因なのか!? 10年で10倍増加! 頻発する大型トラックのタイヤ脱輪事故の深層

■どうしたら脱輪事故を防ぐことができるのか!?

 タイヤ交換などの作業終了後、数100mから数km、あるいは数日後に脱輪事故が起きたら、これは明らかに作業ミス、つまり締め忘れなんですね。そこはヒューマンエラーであり構造上や軸力低下のメカニズムには含まれません。

 問題は数週間後、数カ月後の脱輪事故です。これは作業する側からすれば締め付けは完了していると思われるワケで、ユーザーさんも不可解でしょう。

 そこで先ほどのトルク管理なんですが、規定トルク値はボルトナット、パーツが新品あるいはそれに近しい状態での設定値を想定しています。

 したがってホイールとハブの合わせ面のサビやゴミ、摩耗、ボルトナットのネジ部のサビ、ゴミの除去が締め付け前の大事な作業となるワケです。手でナットがスルスル回るくらい抵抗が少なければ、規定トルクで締めたとしてもロスも少なく、狙い通りの軸力は確保できるのではないかと考えます。

 ボルトナットの清掃後の点検で異常がなく、油分を塗布し規定トルクで締めたとしてもまだ終わりではありません。もう1つ大切なのが「増し締め」です。

 締め付け終了後約50〜100km走行すると、ナットの座面とホイールの当たり面等の微細な凸凹が走行の外力により馴染んて平滑な感じになっていきます。そこで数ミクロンとはいえ凸部がなくなると、その分の軸力は低下します。

 低下した軸力にさまざまな方位からの外部応力、振動、減速時の慣性力等がナットに働きかけ、わずかずつですがナットが緩んでいくというワケです。

 この「初期なじみ」による軸力低下を防ぐには「増し締め」しかありません。なじみにより軸力が低下した分は再び規定トルクにて締め付ければ、緩む原因は格段に減り、軸力確保は確実なモノになるハズです。

 作業する側はネジの締まる(緩む)メカニズムを理解し、それに沿っての作業。またユーザーも締め付け作業終了後の増し締め、そして日々の運行前点検でのナットの緩み確認のラインマーカーや点検ハンマーによる点検が必要です。

 規定トルクで締め付け、軸力の安定しているナットはいきなり緩んで脱落することはありません。それには日々の目視や打診の運行前点検が肝心。これが定着すれば、脱輪事故はきっと減少へ向かうはずです。

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