■開発担当者が営業マン向け説明会で語った、クルマ好きにアピールする胸アツ装備とは
話を聞いた営業マンは、日産グローバル本社でのフェアレディZの営業マン向け説明会に参加し、実車の運転席に座ってみたそうだ。
「実際にシートに座ると、フロントノーズが長く、やや足を投げ出すような独特のドライビングポジションで、やはり伝統的なZを感じました。ブースト計、ターボ回転計、電圧計の3連アナログメーターの形状や、エアコン吹き出し口など、昔からのZ好きの方が見るととても懐かしく思えるかもしれないです。」
「個人的には、R35GT-Rでもメインのメーター類がアナログメーターだったのに、今回ディスプレイ表示になったところに、スポーツカーの時代の流れを感じました」。
「また、ATのシフトレバーの形状がやや現代的なので、MT車の方が伝統的なスポーツカーのインテリアのイメージを保っていると思いました」とのことだった。
営業マン向け説明会で、開発担当者からセールスポイントとして特にアツく語られた走りに関する機能装備は、「ローンチコントロール」と「アクティブ・サウンド・コントロール」だという。
「ローンチコントロールは、実際にどれだけの方が使われるかわかりませんが(笑)、ホイールスピンを抑えてタイヤのトラクション性能がフルに活かされ、どなたでもプロのレーサーのような最大の加速を得られる機能です。
MT/AT全車に装備されますが、特にMTの場合は、電子制御のおかげでアクセルを全開にしたままクラッチを切ってもオーバーレブすることがないため、ドライバーはクラッチ操作のみに集中できる、というハイテク機能です」
「騒音規制が世界的に厳しくなっていることへの対策や、クルマの性能が向上するにつれて剛性も上がり、その結果静粛性も高まっていることで、車内でエンジン音が聞こえづらくなってきています。
そのためスポーツカーを運転していても今ひとつ気持ちが盛り上がらなかったり、また逆に無用な空ぶかしなどをしてしまうドライバーも出てきています。
アクセル開度、エンジン回転数、現在のギアからドライバーの意図とアクセラレーション、Gの変化を読み取り、それに応じてスポーツサウンドを車内に発生させることで、スポーツカーのドライバーならではの気持ちの昂りを感じられる『アクティブ・サウンド・コントロール』は、スポーツカーであるZを運転するという体験に期待されるものを裏切らない、クルマ好きのための機能です」
合成的にエンジンノイズや排気音を車内に満たすことにはやや懐疑的だった筆者も、こう言われると、環境への意識が強まるご時勢で、絶滅危惧種(?)のスポーツカーが生き延びるためには、こういう機能も必要なのかもしれない、と思い至った。
■絶滅危惧種のガソリンエンジンのスポーツカーを手に入れられる最後のチャンス?
カタログの写真に添えられたコピーの一つが、筆者の目を引いた。
スポーツカーは不便か
スポーツカーは時代遅れか
それがなんだというのだ
本物の幸福がここにある
アナクロな感じもしなくはないけれど、おそらく間違っていない気がした。
最高に熟成が進んだ内燃機関を備えたスポーツカーを操り、自らドライビングの意図を表現する、という、これまで当たり前にできたことが近い将来できなくなるかもしれないことを考えると、気になっている方は新型フェアレディZにオーダーストップがかかる前に、ディーラーに早く足を運んだ方がいいかもしれない。
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