全世界で売れる「セダン」がナゼか日本では凋落するナゾ。その理由は何か?

■実はミニバンも復活!? ミニバンに流麗なボディをかぶせたのがセダンだった

 ただし、セダンが昔のように販売の中心に復活することはない。なぜならミニバンが復活したからだ。

 過去を振り返ると、1930年頃までの乗用車の外観は、独立したトランクスペースを備えないミニバン風のスタイルだった。その後、居住空間の後部に荷台を取り付けて荷物を積むようになり、この荷台が流線形のトレンドに沿ってボディに取り込まれ、今に通じるセダンボディが確立された。

 この流れは、かつてクライスラーが用意したPTクルーザーを見るとよくわかる。昔のクルマのボディスタイルが、ミニバンだったことを示しているからだ。

 空間効率を考えると、天井の低いボディの後部に、さらに背の低いトランクスペースを繋げるのは合理的ではない。つまり、セダンはクルマの外観を流線形でカッコよく仕上げ、これを付加価値として普及を図る段階のボディ形状であった。

■ミニバン復活を横目に見つつ、セダンの安心・快適を極めることで生き残りを図れるか!?

 今のようにクルマが付加価値の普及段階を過ぎて、日常生活のツールに変わるとトランクスペースを装着しない背の高いボディが合理的で売れゆきも延びる。ミニバンスタイルの復活だ。

 この典型がN-BOX、スペーシア、タントといった全高が1700mmを上回る軽自動車だ。軽自動車は全長が3395mm、全幅は1475mmの小さなボディだが、車内は驚くほど広い。ミニバンの発想に基づいたクルマ作りは、燃費や車両価格のわりに広くて実用性も高いから、カテゴリー自体がエコロジーにも沿っている。

この事情もあり、日本では新車として売られるクルマの40%近くを軽自動車が占める。

 以上のように考えると、クルマが日常生活のツールになった今、セダンが昔のように大量に売られることはない。しかし、セダンの価値は今でも健在で、特に安心と快適という時代のニーズに応えている。少数派になっても、セダンは存続させるべき商品だ。

【画像ギャラリー】売れとらん、セダン?? 今の日本のセダン事情を改めて知る!!(16枚)画像ギャラリー

新車不足で人気沸騰! 欲しい車を中古車でさがす ≫

最新号

新型プレリュード仮想カタログほか、スポーツカー好き大歓喜情報満載!ベストカー12月10日号発売中!!

新型プレリュード仮想カタログほか、スポーツカー好き大歓喜情報満載!ベストカー12月10日号発売中!!

 ベストカーWebをご覧の皆さま、ちわっす! 愛車がどれだけ部品を交換してもグズり続けて悲しみの編集…