【マナーでなく義務!!】救急車に道を譲らないクルマが増えている?? 意外な理由と大きすぎる影響

「サイレンが聴こえづらい」という声も

 ただ、救急車のサイレン音に関しては近年、「聴こえづらい」という声も多いという。サイレン音には、「前方20メートルの位置において90デシベル以上120デシベル以下」という基準があるが、この音量基準は1951年から見直しがされていない。

 70年前は、窓をあけて走行するクルマも多かったようだが、現在では、カーエアコンが当たり前となったことで、窓をあけて走行することはほぼなくなった。さらに昨今は、クルマのサイドガラスに遮音ガラスを採用するクルマも増えており、クルマの中は静かになったが、クルマの外の音がシャットアウトされてしまうため、70年前よりも聴こえづらいのは当然のこと。さらに、サイレン音は高齢者には聴きづらい周波数であるため、近年になって救急車に道を譲らないドライバーが多くなっている原因には、ドライバーの高齢化が進行していることも関係していると考えられる。

 また近年は、救急車のサイレン音が「うるさい」との苦情も多いようで、サイレンを製造するメーカーは、決められた基準のなかで、音量を下げたり音質を柔らかくしたりという工夫をしているとのこと。サイレン音にはいろいろなモードがあり、救急車が走行する場所によって音を使い分けているようだが、総じて耳障りでなくなっているとすれば、それは、気づきにくいことにもつながっていると考えられる。

 救急車のサイレンに関しては、サイレンが聴こえても、どの方向から聴こえてくるのか瞬時に判断ができず、「どこから救急車がくるのかわからない」ということがあるだろう。これは、音が広がらないようスピーカーの位置を工夫していることに原因があるとのこと。もちろん聴こえさえすれば、どこから来るのか、周囲を見渡して道を譲ることはできるのだが、道を譲る操作が遅れることにもつながるのではないだろうか。

サイレン音の見直しは必須の一方でドライバーへの認知も必要

 海外では、高齢者にも聴き取りやすいよう、複数の周波数をもつサイレン音を採用している。日本も、サイレン音に関しては、音量や音質、またスピーカーの位置など、見直しが必要であろう。また、カーナビに緊急車両の位置情報を表示させる、という技術開発も進んでいるようで、位置が分かることで早い段階から対応ができることから、期待できる技術だといえる。

 一方で、ドライバーへの啓発も必要だと考える。前述したように、緊急走行中の救急車を含む緊急車両に道を譲らなければ道路交通法違反となるが、「違反になるから」ではなく、緊急走行中の救急車には、人命がかかっていることを想像してほしい。もし、自分が道を譲らなかったことで、救える命が救えなかった場合、道交法違反となるばかりでなく、損害賠償責任を問われる可能性さえある。

 渋滞中の道で、緊急車両が通行するための道があけられていく様子は、助け合いの結果であり、救急車に乗っている当事者やその家族にとっては、皆が神様の様にも見えるそうだ。いつかは自分や家族が、緊急車両に乗る側に回るかも知れない。緊急走行中の緊急車両には、しっかり道を譲ろう。

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