■ラゲッジを最大限に!! 床下格納は広報視認性もヨシ
一方、床下収納式のメリットは、リヤクォーターウインドーの視界を犠牲にすることなく、格納時の拡大したラゲッジスペースがすっきりした大空間になるという点にある。
ホンダとして初の床下格納式3列目席を備えたミニバン、初代オデッセイの3列目席を床下にすっきり格納できるようにしたのは、「シートだらけの室内にしたくない」というデザイン担当の開発者の想いからであった。
「だったらシートを隠してやるよ」とばかりに、シートを床下に格納するべく、設計を全面的に見直し、フレームをわざわざ曲げたという逸話があったそうだ。
ラゲッジスペースを大容量ワゴンのように使えるのも床下格納式ならではで、これは筆者の勝手な想像だが、3列目席格納状態で走る前提では床下にシートを収めたほうが重心が低くなり、走りが良くなる……というのも、いかにもホンダらしいパッケージングだと思ったりする。
■新型ノア/ヴォクはネガ解消も……跳ね上げ式は作業が面倒
左右跳ね上げ式のデメリットを挙げてみると、まずは誰もが思いつくように、跳ね上げて格納すると、見た目がすっきりせず、そしてリヤクォーターウインドーからの後方視界を遮ってしまうこと。
跳ね上げ操作も細腕女性にとっては重く、ベルト固定式だとさらに作業が大変なのも事実。先代ノア&ヴォクシーはワンタッチ跳ね上げ方式を採用したものの、最後の固定は手動。身長、体形によってはラゲッジルームに乗り込んで作業する必要があったのだ。
また、3列目席は5:5分割格納が可能で、片側だけ跳ね上げ格納し、もう片方に人が座ることもできるのだが、実際そのアレンジで3列目席に座ってみると、格納した3列目席側のリヤクォーターウインドーの視界が遮られるため、ちょっとした閉鎖感に見舞われたりする(あくまで筆者の感覚)。
車種、固定の仕方の良否によって跳ね上げた3列目席が段差や悪路走行時にガタつくのも気になるところである。
だが、新型ノア&ヴォクシーでは最後の固定までワンタッチで行えるため、格納作業のデメリットは、新型ノア&ヴォクシーに限れば、見事に解消されている!! と言っていい。
また、分厚く折り畳んだ3列目席を左右に跳ね上げたまま固定するため、その部分のラゲッジルームの左右幅が、フロアの最大幅よりずっと狭くなってしまうのも、デメリットと言える。
もっとも、跳ね上げた3列目席の高さまで荷物をぎっしり積むようなことは、大々的なアウトドアや引っ越しぐらいのものだろうから、ここはあまり心配しなくていいだろう。
■床下格納はアンダーボックス使えず……荷物の出し入れもスムースじゃない!?
つぎに床下格納式のデメリットと言えば、まずは床下収納スペースが作れないこと。転がりやすいものの収納には不向きな3列目席格納方法!? と言えるのだ。
そして床下格納操作するには、体を前かがみ状態にせざるを得ず、力も必要になる。
加えて3列目席使用時だと、ステップワゴンのラゲッジスペースがそうであるように、開口部からドーンと下がったところにラゲッジの底部があり(バスタブのように)、重い荷物をスルスル引っ張るように出し入れすることはできない(持ち上げ操作が必要)のだ。
■トヨタは今後も跳ね上げ式で勝負か!?
ということで、ホンダは床下格納式を得意としているが、トヨタや日産のミニバンの3列目席の格納方法は基本的に左右跳ね上げ式を継続中。
新型ノア&ヴォクシーが完全なるワンタッチ跳ね上げから自動固定までやってのけたのはすごいし、セレナの現行モデルは跳ね上げる高さを極限まで低くして、リヤクォーターウインドーの視界を少しながらも改善した努力は認められるものの、格納後の見映えはやっぱり古臭く思えるのも確か。
それでもトヨタのミニバンが左右跳ね上げ式にこだわるのは、開発陣に聞けば(エスティマでは床下格納式にチャレンジしたものの)、やはり実用面から、ラゲッジスペースの床下収納が不可欠な要件となっているからなのだ。
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コメントの使い方4WD実装面積の都合とか