車を運転するなら保険加入が当たり前。特に最近の判例を見ると、人身事故の際は大変な金額となるため任意保険への加入は必須で、なるべく手厚い保証に設定したい。だが「対物に関しては通常の保証で十分」などと考えていないだろうか?
今回の記事を読んでいただければ、そんな考えは消し飛ぶに違いない。過去にあった高額な事故から、標識や自動販売機など、身近なアイテムとの事故について、その保証額をご紹介しよう。
文/藤田竜太、写真/AdobeStock(トップ画像=bogdan vacarciuc@AdobeStock)
【画像ギャラリー】物損事故保証も手厚くしておきたい理由を画像でチェック(7枚)画像ギャラリー■対物賠償の加入率は75.1%!! 保険なしでは怖すぎる!!
自動車ユーザーなら誰でも加入していると思われている自動車保険(任意保険)。しかし、損害保険料率算出機構の調べによると、任意保険の対人賠償の加入率は75.1%、対物賠償の加入率は75.1%とのこと。
これは全国平均の数字なので、大阪、愛知、神奈川、京都などは加入率80%以上だが、沖縄や島根では50%台にとどまっている……。
また、かつてタクシーは対物保険に加入していないといわれた時代があったが、2005年から加入が義務づけられ、対人賠償で8,000万円以上、対物賠償で200万円以上(免責30万円以下)の保険に加入しないと国土交通省の営業許可が下りないことになった。
しかしクルマに乗るのなら、対人保険はもちろんだが対物保険も絶対無制限で加入しておくべきだ。というのも、近年自動車事故の損害賠償額がどんどん高額になってきているため。
一例を挙げると、2008年に首都高速道路でタンクローリーが横転して火災が発生した事故で、道路高架部分の掛替費用(約17億円)と、 2 カ月あまりの通行止めによる通行料金の営業損失を合わせ、32億8900万円の支払いを命じた東京地裁の判決は記憶に新しいところ。
他にも1994年に高速道路でトラックが横転、炎上して車両と呉服、洋服、毛皮など積荷を焼失させた事故では、2億6135万円の認定損害額を認めた神戸地裁の例や、1996年に乗用車がセンターラインをはみ出して、トラックに正面衝突。道路脇のパチンコ店に飛び込み、1億3450万円の賠償金を東京地裁が認めている。
このように、賠償額が1億円を超えるケースも出てきていることを考えると、対物保険は無制限にするのがベスト。もし保険料を節約したければ賠償額ではなく、免責分を増やすべき。
上掲のように1億円を越える例はさすがに稀だとしても、もっと身近なモノを事故で壊してしまった場合も、意外に高額な請求が来るので要注意。
例えば、街中でよく見かける飲み物の自動販売機。標準タイプでも80万円すると言われ、大型のものだと200万円級も珍しくない。
カーブミラーだとモノ自体は2~4万円と安価だが、設置費用などを加えると20万円は必要。
ガードレールは1メートルあたり5000円~1万円が相場だが、工賃や人件費などを考えると30万円ぐらい請求されることも。
ETCのゲートのバーは、1本6万5000円ほど。通常、左右一対になっているので、2本折ってしまうと13万円!
よくニュースになっている、ブレーキとアクセルの踏み間違いで、コンビニの店舗に突っ込んでしまった場合はどうか。これはもちろん程度にもよるが、修理のために店舗が営業できなくなったとすると、店舗休業損害が10日間でおよそ60万円。その他修理費が実費で200万円ぐらいかかったりする。
電柱は15mタイプで1本約15万円。これに折れた電柱の抜き替え作業が加わると、30~70万円ぐらいは覚悟した方がいい。
馬鹿馬鹿しいのは道路標識で、オーソドックスなモノでも40~50万円もかかるらしい。特定企業(天下り系)が受注を独占しているため、強気な価格設定になっているともいわれている!?
信号機は制御装置まで壊すと200万円以上はする……。
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