ホワイトレタータイヤとはそもそもサイドウォール(側面)にメーカー名、あるいは銘柄が白い文字で描かれているアレだ。よくSUVに装着されており、昨今のブームからその人気はうなぎ上りのように思える。
走行性能だけでなく見た目重視のユーザーからも熱視線を集めている状況であるが、なぜミニバンやセダンといった他のカテゴリーのクルマには採用されないのか!?
文/小鮒康一、写真/TOYOTA、ベストカーWEB編集部、AdobeStock(トップ画像=ALF photo@AdobeStock)
■塗ってるんじゃない!? ホワイトレターの部分はゴムだった
一般的にタイヤ=黒というイメージがある中で、メーカーや銘柄のロゴがホワイトで彩られているホワイトレタータイヤのインパクトは大きい。そもそも、どうやってホワイトレタータイヤは作られているのだろうか?
もしかしたら多くの人は、ホワイトレタータイヤの文字部分はプリントや塗料で作られていると思っているかもしれない。
実はホワイトレタータイヤのサイドウォール部には通常の黒いゴムの間に白いゴムの層が挟み込まれており、最終的に文字部分のみ黒いゴムを削り落とすことで間に挟まれた白い部分が露出してあのようなスタイルを生み出しているのである。
つまり通常のタイヤよりも作る上で工数がかかっているということになるので、一般的なタイヤよりも割高なプライスとなっているのも納得というワケなのだ。
このような構造になっているため、例えホワイトレター部分が汚れてしまったとしても、ガシガシ洗ってOK。文字が剥がれてしまったりホワイト部分がなくなってしまったりすることはないのだ。
逆に縁石などでタイヤのサイドウォール部分にキズをつけてしまうと、文字部分以外に挟み込まれている白いゴムが露出して残念な見た目になってしまうこともある。サイドウォールのダメージはタイヤの性能にも影響してしまうので、こうなった場合は潔く交換してしまうことをオススメしたい。
■ホワイトレターがSUV用に多いのはコストとタイヤの性格のせい!?
実は手が込んだ構造となっているホワイトレタータイヤであるが、タイヤメーカーのラインナップでチェックしてみるとそのほとんどがSUV向けのいわゆるオフロードタイヤに集中していることが分かる。
この理由はさまざまな要因が考えられるが、最も大きいのはそのコスト面だろう。通常のタイヤよりも製造の工数が増えるホワイトレタータイヤは当然ながら販売価格にも影響を及ぼしてしまう。
といっても一般的なエコタイヤなどにホワイトレターを入れて金額が上がってしまったら、一般ユーザーの多くは通常のタイヤを選んでしまうことだろう。
しかしオフロードタイヤなどの趣味性の強いホビータイヤに関しては、わざわざそのタイヤをチョイスして購入するこだわりを持ったユーザーが多いため、少々価格が上がってもホワイトレターを持ったタイヤを選ぶ人が多くなるので、リリースしやすいという側面がある。
そしてもう一つの理由としては、オフロードタイヤは扁平率が高いもの、つまりサイドウォール部分の厚みが大きいものが多いため、ロゴをホワイトレター化しやすいという理由がある。
逆に普通車に採用されるタイヤは扁平率の低い薄いものが増えているため、ホワイトレターを採り入れたくてもスペースがないという現実的な問題も存在しているのだろう。
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