■熱中症と暑さ指数(WBGT)との関係とは?
このようにエアコンは車内の温度抑制効果が高いことから、「よく冷えた車内だから、短時間ならエンジンを止めた車内に子供やペットを残しておいても大丈夫じゃないか?」とする声を耳にする。
しかし、これは絶対にやってはいけない! なぜなら熱中症は深部体温の上昇によって引き起こされるからだ。そして、この熱中症は「暑さ指数」(WBGT)と深い関係がある。
WBGTは「湿球黒球温度/Wet Bulb Globe Temperature」の略語で、身体と外気における熱のやりとり(=熱収支)に大きな影響を与える「気温」、「湿度」、「日射/放射」、「風」の要素をもとに算出された指標だ。
WBGTでは温度を基準とした4段階の「日常生活に関する指針」と、湿球温度、乾球温度を併用した5段階の「熱中症予防運動指針」などがある。
■車内に子供やペットを残して行ってはいけない理由
車内温度に関するWBGTでは気温21度未満が「ほぼ安全」とされ、25度未満が「注意」、28度未満が「警戒」、31度未満が「厳重警戒」とされ、31度以上では「運動は原則中止」(≒危険)と定義されている。
ちなみに、エアコンを稼働させて気温約20度に保たれた車内温度であっても、エアコンを停止するとその直後から温度上昇が始まる。
すると、停止後5分で「注意」上限の25度付近となり、停止後10分では28度以上の「厳重注意」、そして停止後15分では「運動は原則中止」の31度以上となり熱中症の危険度が最大限にまで達する。「ちょっとならエンジン止めた車内でも大丈夫」じゃない理由がおわかりいただけるだろう。
また、エアコンで快適な車内温度が保たれたとしても、ダッシュボードの表面温度は61度と高かった。サンシェード装着が52度、サンシェードなしが74度だから、その中間といったところ。ただし、室内温度との差は34度(61度-27度)と実験車両のなかでも最も大きかった。
車内が快適だからと不意にダッシュボードや直射日光を受けている表面を触ってしまうとかなり熱い。あまりの熱さに脊髄反射で手を引っ込めたことのある読者も多いことだろう。
ユーザーテストによると、74度のダッシュボードに生卵を入れたフライパンを放置した場合、1時間で白身の周囲が白くなり、2時間で全体が白く固まったという。
■精密機器の放置にも注意!
同様に、車内温度が低く保たれていても直射日光を受ける場所にスマートフォンやパソコンなど精密機器を放置するのは不具合の原因になる。
また、キャンプなどで使う携帯用ガスボンベにしても、「火気や直射日光を避け、40℃以下の湿気の少ない場所にキャップをして保管」(岩谷産業より)とあるように車内放置は厳禁だ。
手軽な車内の温度抑制策として有名なのが、窓を少しだけ開けておく方法だ。JAFユーザーテストでは開閉可能な窓を上部から3cm開けてテストした。結果は、車内最高温度は45度と窓を開けることで7度下がり、平均温度も5度下がった。
しかし、直射日光を受けることに変わりはなく、ダッシュボードの表面温度は75度と、窓を締め切った場合(74度)と同じ水準だった。
駐車中の車内温度はどうすれば上昇を抑制できるのか? 理想は日光の影響を受けない建物内や地下駐車場に駐車することだ。
また、屋外であっても太陽の日周運動と、周囲の建物などの高さから、なるべく影になる時間の長い場所を選ぶといい。風通しのいい場所も効果的だ。
※参考:JAF(日本自動車連盟)「真夏の車内温度(JAFユーザーテスト)」(リンク先)
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