■旧クラウンエステートファンの反応は?
しかし、従来のクラウンエステートファンは、面白くないだろう。彼らの第一声は、「これはクラウンエステートじゃない」というものに違いない。続いて、「ぜんぜん違うクルマだから気にならないし、興味もない」「どうでもいいですよ。好きにしてください」と言うのではないだろうか。
クラウンエステートが発表されたのは、1999年。23年前のことである。ベースは11代目クラウン。つまり、クラウンを大改革した「ゼロクラウン」の1代前。これが2007年まで継続生産されていた。
「エステート」を名乗ったクラウンはこの一代限りで、それ以前は1987年デビューの8代目クラウンをベースにした「クラウンステーションワゴン」(98年まで販売)があるのみ。つまり「クラウンエステート」と言えば、11代目ベースのコレになる。
旧クラウンエステートのファンは、このクルマのどこにほれ込んでいるのだろう。人の好みを勝手に言語化するのは難しいが、想像すると、こんな感じになる。
「顔を見るとクラウンだけど、横から見るとライトバンみたいでしょう。この二律背反な感じがいいんです」
「クラウンをそのまんま伸ばしたような、気取ってないところが好きなんだよね」
「これはアメ車のステーションワゴン感覚だよ。なんでそれがわかんないの?」
クラウンというクルマは、もともとアメ車の日本的解釈から始まっている。そのテイストは、ヨーロピアンというよりもアメリカンであり続けた(ゼロクラウン登場まで)。そのステーションワゴンは当然、アメ車のステーションワゴン風味になる。
アメ車のステーションワゴンは、アメ車のセダンよりもカジュアルかつスポーティで、アウトドアのイメージが強いが、クラウンエステートはアウトドアというよりも、やっぱり「配達」の香りがするが、それはクラウンエステートが、主に業務用に作られた結果である。
その業務用を普段乗りに使うのがカッコイイ、という人たちが、旧クラウンエステートファンだ。彼らにすれば、新型クラウンエステートはまったくの異文化であり、接点はゼロ。だから、反感より無関心に流れるのが自然だ。
■あえて「エステート」の名を冠したトヨタの狙い
では、新型エステートは旧エステートの雰囲気を継承する必要があったのか? と問われれば、答えはもちろんノーだ。
セダンの命脈さえおぼつかない状況で、かつてのライトバン的なステーションワゴンが、トヨタの最高峰ブランドであるクラウンに設定されるはずがないし、そういう時代ではない。
クラウンステーションワゴンや旧クラウンエステートは、5ナンバークラウン時代の名残であり、大型ライトバンの需要に迫られて、ベースにクラウンが選ばれただけと言ってもいい。そこに熱心なファンが付いたのは、一種のキワモノ好きで、完全なマニアなのである。
マニアは、何をやってもその場から動かない。いまだにクラウンエステートに乗っているようなマニアが、たとえ新型が従来の延長線的なデザインで登場したとしても、それに乗り換えるなんてほぼ考えられない。
新型クラウンエステートは、エステートという名前を継承したことで、あえて軽い違和感を抱かせる。「これが新しいクラウンエステート!? 昔のとまるで違うね~」と誰もが言う。それだけで、斬新さを強調する効果が得られる。
エステートの中身はまだ公開されていないので、どんなラゲージになるのか未知数だが、基本的には、ラージサイズのSUVそのものだろう。しかし、そこに「クラウンエステート」の名前が乗っかると、なぜか非常に新鮮に感じてしまう。さすがトヨタ! 感服するしかありません。
【画像ギャラリー】新時代のクラウンを体現!! 新型トヨタ クラウンのバリエーションとSUV寄りとなったクラウンエステート(9枚)画像ギャラリー
コメント
コメントの使い方なぜ長年エステートが設定されなかったのか?単に売れないからだろ。それをわざわざ今回設定したのは、販売台数などを誤魔化す為。前モデルと高さなどが違うならわざわざエステートと名乗る必要なないはず。
今までの歴史と世間の求めるものとの違いから、訳の分からないラインナップ・ネーミングになった。
清水草一さんがカッコいいという車は、カッコいいに違いない。
多くのデザインを見てきた彼の感性は本物。
俺は今日からエステートをカッコいいという目で見ることにする。
これがエステート?
ハリアーにしか見えない、ダサ!