2022年7月15日に発表された新型クラウン。販売店にはのぼりや垂れ幕が掲げられ、新型車の登場を華々しく伝えている。
クロスオーバーとして生まれ変わったクラウンに対して、販売現場ではどのような反応が見られるのだろうか。注文状況やユーザーの声など、販売現場の様子をレポートする。
文/佐々木亘、写真/TOYOTA、奥隅圭之、ベストカーWeb編集部
【画像ギャラリー】販売店に早く来てー!! 新型クラウンクロスオーバーの実車写真はコチラから(13枚)画像ギャラリークロスオーバーが登場したクラウンに対しどう思う?
一般ユーザーや我々メディアを含め、新型クラウンがセダンから離れることに対して、賛否両論があった。クラウンが変わるということに対して、一種のアレルギー反応のようなものが、皆にあったともいえるだろう。
こうした状況に対して、販売店の営業マンを筆頭にしたスタッフの中からは、「セダンではなくなるクラウン」に対して、マイナスな反応は少なかった。筆者が耳にする限りでは、どのようなクルマになるのか不安だという声は多かったが、それはクラウンが変わることに対する不安ではなく、売れるかどうかに対する不安であったと思う。新しいビジョンを持ったクラウンへの期待は、販売現場からの方が多かったのだ。
実際にクラウンが発表されると、市場では肯定派が増え、カッコいい、期待以上という声が多く聞こえてくる。販売現場でも、「自信をもっておススメできるクルマ」として認知されており、その評価は高いままだ。
クラウンは間違いなく売れるクルマであり、トヨタの販売における核となる存在。クラウン販売に対して、前向きにとらえる声が、販売店には溢れている。
注文状況は好調か? それとも・・・?
では、注文状況はどうだろう。新型モデルということで、その動きは好調そのものと考えたいところだが、販売店が想定していたスタートが切れていない。その原因は2つの点にある。
一つは、車両の生産が間に合っていないという問題。7月15日に発表したはいいが、生産の調整が、まだついていない。メーカーへの車両オーダーもできない状態で、各販売店では受けた注文を順番に並べ、来るべきオーダー開始日を待っている状態だ。
販売店には試乗車はおろか展示車両すらない状態。せっかく変化し、クルマを見せながら商談するのがベストなクルマなのに、現物がないというのは、商談の大きな足かせとなっているだろう。
もう一つは、クラウンからスタートしたトヨタの販売方針転換だ。これまでレクサスでは当たり前だった「値引きゼロ」の売り方を、トヨタでも導入した。その一番手になったのがクラウンだ。
車両本体価格およびメーカーオプションに対して「値引き」という項目を作り、そこに金額を入れることは出来ない(厳密にいえば金額は入れられるが、オーダーを通さないようだ)。新型クラウンであっても数パーセントの値引きは存在していたこれまでの売り方から、大きく方向を変えた。
多くの人に、平等な価値でクラウンが届くということを考えると、筆者はこの方式に賛成だ。筆者がレクサスの営業畑で育ってきたこともあるが、クルマの値引きありきでの販売文化はそろそろやめたほうが良い。
現車がない、オーダーできない、そして値引きがないという、これまでの販売とは大きく方向性の違うクラウンの販売。まずは生産日程が明確になり、正式な注文(オーダー)を受けられることが確定してから、クラウンの大きな販売の波がくることになるだろう。
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