■国や地域によってタバコ広告の規制に差があった1990年代
当初、三菱はワークスカラーともいうべき白ボディに赤いストライプの入ったものを採用していた。だが、マシンとドライバーの戦闘力が高まるとともに参戦数も増えて予算も増大。これに対応するためだろう、1999年からフィリップ モリスのタバコ銘柄の一つ、マールボロのカラーリングを身にまとった。
赤いボディにマールボロたばこのパッケージ同様の白の三角がボンネットに入り、マールボロのロゴが描かれている。そして両リアドアとトランクにもマールボロのロゴが入った。
しかし、世界的にたばこの広告規制が強まる中、F1をはじめとしたモータースポーツも大きな影響を受けるようになる。1990年代から始まった規制は段階的に行われたうえ、国によって実施内容が異なるものだったため、シーズン中に微妙に表示されるロゴなどが変わるということが起こる。
三菱チームは1999年のラリー・フィンランドにランサーエボリューションVIで出場するが、このマシンのボンネットにはマルボロのロゴはなく、似たような書体で「TOMMI」の表記があるだけだった。
これはドライバーのトミ・マキネンのことだが、開催国のたばこ規制によってマールボロのロゴが使えなかったことによって起きている。両サイドのドアのロゴも外され、意味のない四角形が描かれている。
これよりも厳しかったのがラリー・モンテカルロで、スタート地点のあるモナコの町を出るときはボンネットのマールボロの文字はオーケー! だがメインのコースが設定されるフランスに入るとボンネットから文字は消され、真っ白になってしまっている。
両サイドはロゴが外されているが、意味ありげな白い三角は残されている。
2000年のラリー・スウェーデンに登場したマシンは、ボンネットにバーコードが描かれている。同様の手法はF1マシンなどでも施されていたので、ファンなら印象深いはずだ。これはマールボロに限らず、他のブランドでも広告規制に対応するために採用されていた手法だ。
2001年からランサーエボリューションVIIが投入されたが、規制の緩かったイタリアのラリー・サンレモではしっかりとマールボロのロゴが入っていた。しかし同年のオーストラリアではボンネットに「TOMMI」と書かれたロゴなし仕様に。
2002年のラリー・フィンランドの競技前に行われた三菱ラリーアートチームのイベントで展示されたマシンは、まったくのロゴなし状態。赤地と白い三角の組み合わせも使われていないため、今までの流れを知らなければ、マールボロのスポンサードを受けているとは思えない状態だった。
マールボロは、2002年いっぱいで三菱とのスポンサード契約を解消している。三菱はスポンサード初年度の1999年にトミ・マキネンがドライバーチャンピオンを獲得し、なんとかそのスポンサードに報いることができたのだ!
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