■クルマの運転を楽しむバーチャルな環境が急成長
けれどもリアルとバーチャルな世界が融合しつつある現在においては、運転の世界も例外ではない。
TVゲーム時代から存在するレーシングゲームは、今やフィードバック機能を備えたリアルなドライビングシミュレータに成長している。レーシングシム(レーシングシミュレータの略称)はプロのレーシングドライバーがトレーニングに利用するほど、それは実際のドライビングに役立つものになってきた。
シビックe:HEVのスポーツモードやトヨタの疑似MTも、それらシミュレーション技術と非常に近いものといえる。異なるのは実際の移動を伴うかだけであって、走行感を再現する技術はかなり似通ったものだ。
ステアリングやペダルへのフィードバックだけでなく、シートを動かすことによって走行中に発生する加速度を疑似的に体感させるモーションシムも、より高性能でリアルなモデルが続々と登場している。それらは実車が購入できるほど高価なものだから、決して子供が楽しむレースゲームの域ではない。
クルマのパーツサプライヤーで構成される自動車技術会が主催する、大学生を中心としたフォーミュラマシンを企画、開発、製作し、販売提案までの過程を競う「学生フォーミュラ」もコロナ禍で思うように試走による開発が難しくなった。
そこでレーシングシミュレータ「アセットコルサ」を利用したバーチャルな空間でマシンの試走を繰り返して熟成させる方法を編み出し、昨年実施した。
先日、これから参加する学生たちに向けて、バーチャル環境でのマシン開発に関するセミナーが開催され、筆者はYouTubeのオンライン配信を通じて取材した。
学生たちは、CAD(コンピュータによる設計技術)以上のPC利用によるマシン開発への応用に、戸惑いながらも講師であるOBに積極的に質問して、自分たちの手の内に入れようと一生懸命な姿勢を見せてくれた。
自動車メーカーはとっくにバーチャル空間でクルマの開発を行なっているが、これからはエンドユーザーがクルマを楽しむ手段としてバーチャルな環境も利用するようになってきた。リアルなクルマの楽しみは、環境問題や監視社会によって難しくなってきた。
これからはバーチャルなドライビングも併用することで、クルマの走りを存分に楽しめるものとなる。練習走行で燃料とタイヤを大量消費する時代は終わり、クラッシュのリスクも低減できるレーシングシムが大人のクルマ趣味に仲間入りしたのだ。
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コメントの使い方エンストを再現出来れば高齢者の踏み間違い防止に役立つだろう