もはやスポーツカーの新常識!? 前後異形タイヤのメリットとデメリットとは

■R35GT-Rのタイヤサイズの秘密

4WDは四輪同一サイズのタイヤを履くのが基本だが、日産 GT-R(R35)は例外で、前後異サイズタイヤとなる。これはGT-Rの4WDシステムによる
4WDは四輪同一サイズのタイヤを履くのが基本だが、日産 GT-R(R35)は例外で、前後異サイズタイヤとなる。これはGT-Rの4WDシステムによる

 ところで、上記のRZ34やGRスープラは、前後異サイズといっても、ホイールサイズは前後とも19インチで違うのは幅だけ。この2台はFRのハイパワーモデルだが、ミッドシップになるとタイヤ幅だけでなく、ホイール径まで違う車種もある。

 これも狙いは変わらない。タイヤは外径が大きくなるほど負荷に耐える能力が高くなるので、エンジンを後方に搭載してリアがヘビーなミッドシップやRRは、リアに大径タイヤを履かせてタイヤのキャパシティを増やし、トラクションを確保しているというわけだ。

 4WD、とくにフルタイム4WDのクルマは、四輪同一サイズのタイヤを履くのが基本。前後でタイヤサイズが異なると、回転差が生じ、センターデフや電子制御系などに支障が出やすくなるからだ。

 例外は日産のR35GT-R。R35はフロント255/40Z-20、リア285/35-20という、FR車のようなタイヤサイズが選ばれている。

 第二世代のGT-Rは、R32からR33、R34と、4WDのセオリー通りに前後同サイズのタイヤだったのに、R35からはリアタイヤをサイズアップする手法を採用した。

 これはGT-Rの4WDがフルタイム4WDではなく、トルクスプリット4WDだったことが大きい。つまり、ストレートやブレーキング、ターンインまでは基本的にFRで、コーナー立ち上がりでリアのトラクションが不足すると、フロントにもトルクが配分される。

 GT-Rは、ほとんどの時間、FRとして走っているわけで、そのGT-Rが500馬力、600馬力とハイパワー化してきたことで、ハイパワーFRに倣って、リアタイヤのサイズアップを取り入れたのだ。

 ちなみに、フロント255/40Z-20、リア285/35-20とタイヤの幅は違っても、タイヤの外径は前後で4mmしか変わらない。タイヤ外径で4mmの違いは誤差の範囲で、同径サイズといってもいいだろう。

■FFスポーツがフロントタイヤを太くするのはアリ?

 最後にFFについてだが、ハイパワーFRがトラクション確保のためにリアに太いタイヤを履くのなら、FFスポーツがフロントに太いタイヤを履かせるのも有効なのか? という疑問が生じるだろう。

 答えはイエス。モータースポーツの世界では、FFのフロントにワンサイズ幅の広いタイヤを履いて(あるいはリアのタイヤをワンサイズダウン)、アンダーステアを殺すのはわりとメジャーなセッティング。

 もっとも市販車では、フロントタイヤが太いとハンドルが重く、ワンダリングも増してしまう。また量産車では、リアのグリップ下げることでオーバーステア気味のセッティングにするのは御法度で、安定感のある弱アンダーステアにするのが基本中の基本。

 そのため、FFは前後同サイズがベーシックで、サスペンションをフロント:ストラット、リア:トーションビームといった組み合わせにし、フロント側をリッチなサスにすることで、前後のハンドリングバランスを調整している場合が多い。

【画像ギャラリー】FR車の後輪はけっこう重労働なんです!! ましてや大馬力ともなると!! 前後異サイズタイヤの理由(8枚)画像ギャラリー

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