■ホンダ編(2021年の国内総販売台数:57万9771台/国内の販売拠点数:2200店)
●テーマ
・販売車種が激減しているが大丈夫なのか?
・消滅して残念な車種は?
今年下半期にホンダでは、ミドルSUVのCR-V、ハイブリッドセダンのインサイト、コンパクトワゴンのシャトルの生産終了が決まっている。
ホンダの絶版ラッシュで「売るモノがない」と悲観する声も多いが、その心配には及ばない。なぜなら、車種を限定することで、ニーズに沿った提案が容易になる側面があるからだ。
新型SUVのZR-Vが販売されればホンダにおける人気のカテゴリーが2車種ずつ並ぶ。これによりユーザーの選択肢はシンプルになり、ミニバンならフリードかステップワゴン、SUVならヴェゼルかZR-Vと、選びやすくなるだろう。
しかし、「残されたラインナップで勝負できるか?」と不安を口にする営業マンが多いのも事実。今後は、限定されたクルマのスペシャリストになり、提案力を高めたい。販売現場では、すでに対策が講じられているようだ。
また、整理されたラインナップは、近年造成されたホンダのブランドイメージを大きく変える転換点にもなりうる。
軽自動車(Nシリーズ)だけでなく、登録車カテゴリーでも戦えるホンダを想起させられるはずだ。
ラインナップで気になるのは、フィットとフリードの間が大きく空いてしまうこと。特にシャトルには消滅してほしくなかった、という声は多い。
シャトルの穴を埋めることが、ホンダの販売の今後を占う重要なポイントとなるだろう。
(TEXT/木村俊行)
■マツダ編(2021年の国内総販売台数:15万7311台/国内の販売拠点数:770店)
●テーマ
・CX-60に対する期待と不安は?
・ディーゼルとPHEVで問い合わせが多いはどっち?
マツダの販売店では、4月下旬からCX-60の予約受注を開始。直列4気筒2.5Lガソリンの25S・Sパッケージ(2WD)は299万2000円でFRを新採用しながら、CX-5の2Lガソリン20Sプロアクティブに近い。
3.3L、直6DTのXD・Sパッケージは358万500円。CX-5 XDプロアクティブよりも約36万円高いが、スペックアップで割高ではない。このようにCX-60の価格はCX-5に近い。
ところが電動機能が加わると一気に高まる。ディーゼルに48Vマイルドハイブリッドを加えた4WDエクスクルーシブスポーツ/モダンは505万4500円で、ディーゼルの4WD・XDエクスクルーシブモードよりも39万6000円高い。
フルハイブリッドと同等の価格アップだ。ガソリンをベースにしたPHEVは、17.8kWhの大容量リチウムイオン電池を搭載し、4WDエクスクルーシブスポーツ/モダンは584万6500円と高価。ガソリンの4WD25Sエクスクルーシブモードよりも177万6500円高い。
このようにCX-60では、ガソリンとディーゼルはCX-5並みに割安だ。直列6気筒の強みで、XD・Sパッケージを中心に売れゆきを伸ばす。一方、電動機能が加わると割高になり、売れゆきも伸び悩む。
販売店では「予約段階では、ディーゼルのマイルドハイブリッドが多く、2位は普通のディーゼルでPHEVは少ない。
今後は普通のディーゼルとガソリンが伸びる」という。
CX-60は堅調に売れるが、そのぶんCX-5は下がる。マツダ全体の販売台数を増やせるかが今後の課題だ。
(TEXT/渡辺陽一郎)
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