未曾有の大異変のなか各メーカーが抱える問題点とは? 国産メーカーのクルマ販売最前線

■スズキ編(2021年の国内総販売台数:60万8379台/国内の販売拠点数:約1100店(直営、アリーナ店舗))

●テーマ
・日産、ホンダの軽充実による影響はないのか?
対ダイハツの戦略は?

スズキ スペーシアはスーパーハイトワゴン軽の絶対王者にないSUVタイプのギア(写真)をラインナップ
スズキ スペーシアはスーパーハイトワゴン軽の絶対王者にないSUVタイプのギア(写真)をラインナップ

 スズキにとって対ホンダの影響度は、N-BOXが圧倒的な強さを見せていることもあり、スーパーハイトワゴン分野で最も大きく、直接の対抗モデルであるスペーシアへの影響はかなり大きい。

 ただスペーシアはN-BOXにはラインナップされていない、SUVテイストの「ギア」シリーズを持っており、これがけっこうな強みを発揮している。そして直近5月の届出台数では初めてN-BOXを上回り、軽乗用車トップを奪還した。

 このほかハイトワゴンのワゴンRN-WGN(ホンダ)では終始ワゴンRに軍配が上がっている状態。

 スズキの最大の強みは今人気のSUV系が充実していること。ホンダにないハスラー、ジムニーを持っているので、影響度は小さいと言える。

 一方の日産は新型電気自動車『サクラ』の登場で注目度はかなり高く、今後強みを発揮しつつあるのは間違いない。

 最大のライバルであるダイハツに対しては、全体的にはダイハツのトップは不動だが、最近になってスズキの追い上げが目立つようになっている。

 実際に月間の届出台数はスズキが奪還する月も目立つようになっている。スペーシア、アルト、ハスラー、そしてダイハツにないジムニーがリード役を果たしていると言える。

(TEXT/遠藤 徹)

■ダイハツ編(2021年の国内総販売台数:57万2401台/国内の販売拠点数:791店)

●テーマ
・日産、ホンダの軽充実による影響はないのか?
対スズキの戦略は?

ダイハツ タントは後発ながらライバルの後塵を拝している。軽ナンバーワンの座が脅かされる要因だ
ダイハツ タントは後発ながらライバルの後塵を拝している。軽ナンバーワンの座が脅かされる要因だ

 ダイハツは長い間、軽自動車トップの座を維持しているが、最近、その座は必ずしも安定的に推移しているとは限らない状況にある。

 ホンダ、日産が軽自動車マーケットに本格的に参入し、追い上げているのも一因として挙げられる。

 スーパーハイトワゴン軽自動車の分野を開拓し、トップの座を確保したタントではあるが、ホンダのN-BOXに追い越されてからすでに5年以上が経過している。

 タントは2019年に全面刷新し同分野でのトップ奪還を図ったが、N-BOXを凌駕できないでいるばかりか、逆に大きく差をつけられている。

 これは現行タントの出来が悪いというよりもN-BOXのハイクォリティに追い付けないと言ったほうがよい状況にある。

 それでは最大のライバルスズキに対してはどうか?

 対スズキではまだ年間販売で負けてはいないが、追い上げられている状況にある。スーパーハイトワゴンのタントvsスペーシア、SUVのタフトvsハスラーではいずれもスズキ陣営に軍配が上がる月が目立っている。

 スズキにはジムニーというダイハツにはないラフロード系の4WD車があり、その高い人気もダイハツを脅かす有力な武器のひとつとなっている。

(TEXT/遠藤 徹)

■まとめに

 販売会社にとってクルマが売れないほど悲しく厳しいことはないが、売れているのに納車できないというのもこれまたつらい状況だ。

 しかし半導体部品の供給が正常化するにはまだまだ時間がかかる。日産サクラ、eKクロスEVといったゲームチェンジャーになりうるクルマも登場しているだけにできるだけ早い解決を願うばかりだ。

 盤石の体制に持ち込みたいトヨタ、周囲が心配するほど深刻な状況ではないホンダ、新たなチャレンジを開始するマツダ、スバルなどなど、注目すべき点はいろいろある!!

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