NEXCO東日本によると、2020年の全国の高速道路におけるクルマの故障は、およそ4割(38.8%)が、タイヤ(ホイール)の破損だという(2番目に多いのは、始動点火系統不良(バッテリー不良)で14.2%、3番目はオーバーヒートで10.4%、4番目は燃料切れで9.2%)。
タイヤ(ホイール)が破損すると、自車が危険なことはもちろんのこと、周囲のクルマも巻き込んでしまう可能性もあり、非常に危険。タイヤ破損の大半が事前の点検で防げるものであることから、日ごろからチェックをしておきたいところだが、残念ながらつい怠っているドライバーも少なくないようだ。タイヤをチェックすることの重要性をご紹介するとともに、チェックの方法についてもご紹介したい。
文:吉川賢一
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写真:JATMA、Adobe Stock、写真AC
空気圧不足は燃費を悪化させるほか、バーストの危険も
クルマのタイヤに関するメンテナンスで、もっとも簡単で基本的でありながら、気にしているドライバーが意外に少ないのが、空気圧の確認だ。ご存じのとおり、クルマにはそれぞれ指定されている空気圧があり、常にその空気圧を保つ必要がある。
指定空気圧は、車体のBピラーや、燃料リッドの蓋の裏側などに記載されており、(エアタンク一体型の場合)空気充填機にあるエアゲージで測定しながら、指定空気圧(純正タイヤサイズでない場合は指定値以上にする)に合わせる。ガソリンスタンドの空気充填機は自由に使えることが多く、場合によっては、スタッフが無料点検してくれる。また、エアゲージ自体は1000円程度で手に入るので、ひとつ持っておくのもいいだろう。ただし空気圧は、走行によってタイヤが温まると上昇するため、できるだけ走行前に点検、調節をするようにしてほしい。走行によって空気圧が上昇しているからといって空気を抜くのはNGだ。
空気圧が不足すると、タイヤの変形量が増えることで、転がり抵抗が増加する。転がり抵抗が増えると、進行方向とは逆向きの力が働き、余計なエンジンパワーが必要となり、燃費悪化につながる。タイヤの空気が抜け気味の自転車はペダルが重たく、前に進むには余計なパワーが必要となるのと同じ原理だ。空気圧の低下はほかにも、走行安定性が低下し、タイヤのバーストなども引き起こす。
また、空気圧は高すぎても燃費が悪化したり、ブレーキの利きが悪くなったりと、さまざまな問題を引き起こす。日本自動車タイヤ協会(JATMA)の調査によると、乗用車の約47.3%が、車両指定空気圧よりも不足していたという(H25年浜名湖SAにて行った調査結果)。乗用車用タイヤは、1カ月で約5~10%(10~20kPa)、自然に空気圧が低下するため、月に1度は、適正な空気圧となっているか、確認するようにしてほしい。
摩耗したタイヤを履いたクルマは雨天時に「凶器」となる
タイヤの摩耗が進むことで最も影響を受けるのは、ウェット路面の制動だ。ウェット路面では、スピードを出せば出すほどスリップしやすく、高速走行では、クルマが制御不能となるハイドロプレーニング現象を引き起こしやすくなる。
摩耗が進み、トレッド面の溝深さが残り1.6mmになるとスリップサインが現れるが、幅が広いタイヤでは偏摩耗が起きやすく、車両外側ではタイヤ溝が十分に残っていても、タイヤの内側はスリップサインに到達していたなんてこともある。
スリップサインのチェック方法は、タイヤのサイドウォールにある三角マークの箇所を、トレッド面に沿って手で触ることでできる。三角マークの箇所には、「ウェアインジケーター(タイヤの溝底に1.6mmのゴムの盛り上がりを設置した部分)」があり、手で触ってそこがデコボコしていれば、まだ1.6mm以上の残り溝があるということ、逆にデコボコが確認できなければ、それは「スリップサイン」がでていることになる。目視しにくいタイヤ内側であっても、手で触ることで確認できるため、クルマへ乗り込む前にさっと触れば、10秒でチェックが可能だ。
ご存じのとおり、スリップサインの出たタイヤは、道路交通法で装着・使用が禁止されており、そのまま走行を続ければ、「整備不良」として取り締まりの対象となるが、スリップサインが出てからでは遅い。摩耗が進んできたなと思ったら、早めに交換をするようにしてほしい。
コメント
コメントの使い方大事な記事ですね。クラック出てますよ交換時期ですよ、と注意しても乗り続ける人が多いです。クラック=即交換、を常識にして公共の道路を安全にしたいですね