庶民の味方、軽自動車業界の動きが活発になってきた。本企画では、自動車業界の最近のニュースを、大きいものからマニアックなものまで、7日に渡って取り上げる。ラストとなる第7弾は「滅びゆく(?)軽ホットハッチの系譜」について。
2021年12月に9代目へフルモデルチェンジを果たしたスズキ アルト。だがそのラインナップにホットハッチモデル「アルトワークス」の名はなかった。先代・8代目アルトが登場し(2014年12月)、「ワークス」の登場が発表されたのはその1年後の2015年12月。今回はどうか? 「ワークス」そして「軽ホットハッチ」を巡る現状を自動車評論家 岡本幸一郎氏が解説する。
※本稿は2022年7月のものです
文/岡本幸一郎、写真/DAIHATSU
初出:『ベストカー』2022年8月26日号
■アルトワークス復活は「ない」と言えてしまうこれだけの理由
アルトワークスがなくなり、「軽ホットハッチ」という文化が消滅の危機を迎えている。岡本幸一郎はこう分析する。
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バブル期には軽カーを手がける各メーカーがホットハッチを擁して速さを競っていた。
やがて軽はハイトワゴンの時代になり、ホットハッチは消滅。
ひさしく存在しなかったなかで復活を求める声に応え注目されたアルトワークスだが、現行には設定されていない。
復活に歓喜した人たちも、冷静に考えると少しがんばればスイスポ(スイフトスポーツ・スズキ)に手が届くことに気がついたのだろう。
競技系の人もこぞって乗り換えたが、ハイグリップタイヤを履くと速くて重心が高いので横転しやすいという問題が表面化して人気が薄れた。
そもそも時間が経過して新鮮味が薄れ、欲しい人の手にはすでに行きわたった感もある。
今では速い軽カーのMTが欲しい人にはN-ONE(ホンダ)のRSがあり、スパルタンさが売りのアルトワークスよりもずっと快適に乗れて、しかも6速という強みもある。
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