■海外メーカーからハイブリッドスポーツ登場
……と、国内でハイブリッドのスポーツエンジンへのアプローチがちらほら登場したものの、それでもモーターブーストによるハイパワー化に踏みきれなかった2013年、ハイブリット=低燃費といった意識の縛りのない欧州では立て続けに強烈なハイブリッド・スポーツが登場します。
マクラーレン P1、ラ・フェラーリ、ポルシェ 918です。マクラーレン P1は3.8L ・V8ツインターボ(737ps)にF1のKERS(カーズ=エネルギー回生システム)に似たハイブリッドシステムを搭載してシステム出力916ps/900Nmを発揮します。
ラ・フェラーリは6.3L・V12気筒NAエンジン(800ps)にHY-KERSによって163馬力を加え、システム出力963ps/900Nm以上を発生。
ポルシェ 918は4.6L・V8NAエンジン(612ps)に前輪2個+リヤ1個の計3つモーター(220ps)を加えシステム出力887psを発揮します。
いずれもF1のKERSのシステムに似たハイブリッドシステムを採用したハイブリッドカーですが、ブレーキエネルギーを素早く回収して電気に変換し、加速などアシスト効果のある場面で素早く出力を発揮するというものです。
そのため、国内のハイブリッドとはシステムが多少異なるのですが、少なくともモーターを駆動アシストに使うという考え方は一緒で、しかも途轍もないパワーとトルクを発揮してクルマのパフォーマンスを高めているわけです。ハイブリッドの一つの方法としてとても面白いと思います。
■海外勢に対する日本メーカーからの回答
一方2016年に登場したNSXは同じスーパーカー的な立ち位置のクルマですが、システムはぐっと日本的というか、これまで日本人が慣れ親しんできたハイブリッドシステムの延長線上にあり、何かほっとした気分になります。
NSXのハイブリッドシステムは507psを発揮する3.5L・V6ツインターボエンジンをミッドシップに搭載し後輪駆動するのを基本形にしています。これに前輪用37psモーター×2、後輪用47馬力モーターを用いた3モーター式でシステム出力は581ps/646Nmです。
当初は特殊だったハイパワーなモーター駆動ですが、ハイパワー・ハイブリッド・スーパーカーの登場やテスラに代表される大容量ハイパワーEVの登場によって、徐々にハイブリッド≒エコ&低燃費の足かせが薄れてきた感はあると思います。
身近な例で言えば、RAV4ハイブリッドは明らかにモーターブーストによる刺激的な加速性能を意図しています。またシビックのハイブリッドモデルであるシビックe-HEVはスポーツを謳っています。
もちろんパワーユニットの速さだけでなくクルマのキャラクターがスポーツということですが、ホンダの2モーター式ハイブリッドシステムは基本的にモーター駆動が主体になるので、モーターの選定次第でさらにパワフルなパワーユニットに仕立てることも難しくないと思います。
もし今ホンダがCR-Zを再発売すれば、モーターも存在感を強く持たせた味付けにするのではないでしょうか。
また次のスイフトはハイブリッドになると言われていますが、ボディの堅牢さや走りの良さがウリのスイフトだけに、ハイブリッドの味付けにはスポーツ性を期待せずにはいられません。
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