下りなのに登ってる!? 坂道は危険がいっぱい!! 意外と知らない坂道での走り方

急な登り坂には危険がいっぱい

下りなのに登ってる!? 坂道は危険がいっぱい!! 意外と知らない坂道での走り方
坂道の頂上の手間付近では坂を越えた先の状況を知ることができない。スピードを落とさずに走り続け、対向車線を越えてクルマが走ってきたら正面衝突の危険が。また、渋滞が起きていたら追突事故を起こしてしまう危険もある

 坂の頂上付近には、より多くの危険が潜んでいる。頂上の手前では坂がブラインドとなって対向車がまったく見えないため、対向車が猛スピードで車線を飛び出してきたりしたら回避するのが難しくなる。また、坂を登り切った先に駐車車両があったり、歩行者や自転車がいた場合に気づくのが遅れて衝突する危険も高まる。

 そういったことから、道路交通法第44条第1項では危険回避のためや一時停止などの指定がある場合を除き「坂の頂上付近、勾配の急な坂」での駐停車が禁じられている。違反した場合は、3カ月以下の懲役または5万円以下の罰金に科せられる。

 これは意外かもしれないが、登り坂のほうが速度超過に陥りやすい。下り坂は意識的にブレーキを踏んで減速するが、上り坂では速度が落ちるためアクセルを踏んで車速を維持して登ろうとしがちだからだ。ただでさえ前述のように視界が悪い状態でさらにスピードが出ていると対向車や脇道から出てくるクルマや、自転車や歩行者を見落としてしまうリスクが高まる。

 また、明治大学先端数理科学インスティテュートの研究によると、坂の頂上を越えたところが左カーブになっていたりクランク状になってすると、坂を上ってくる対向車が逆走してくるように見える錯視が発生しやすいことがわかっている。

 この時に対向車を避けるために反対車線へハンドルを切ったりすると、正面衝突事故を起こしてしまう恐れがある。

(参考文献 : 「道路の錯視とその軽減対策」JST, CREST「数学」領域 「計算錯覚学の構築」チーム 明治大学先端数理科学インスティテュート 錯覚と数理の融合研究プロジェクト)

坂道での駐停車は超危険

下りなのに登ってる!? 坂道は危険がいっぱい!! 意外と知らない坂道での走り方
坂道での駐停車は緊急事態以外はしないことが鉄則。少しでもブレーキのかけ方が甘ければ自然発車が発生する危険がある

 急勾配の坂や坂の頂上付近での駐停車はサイドブレーキのかけ忘れや、かけ方が甘かったりすると動いてしまう危険がある。これは「自然発車」と呼ばれる。自然発車の9割超はサイドブレーキのかけ忘れ。

 自然発車事故の約83%が免許取得経過年数10年以上の運転者が起こしているという。つまり、ベテランドライバーになればなるほど気の緩みがあるせいか坂道での駐停車の操作ミスが発生しやすいということだ。

 というこで、教習所では必ず習っているものの、忘れがちな坂道での駐停車時の操作方法をおさらいしてほしい。

●AT車の場合
 シフトをシフトをN(ニュートラル)ではなくP(パーキング)に切り替えてパーキングブレーキ(サイドブレーキ)をかける。

●MT車の場合
 シフトをN(ニュートラル)に切り替え、パーキングブレーキ(サイドブレーキ)を確実にかける。

 交通事故総合分析センターの調査によると、自然発車における死亡事故の約60%が勾配3%以上の坂道で発生しているという。勾配3%とは、100mの距離を進んだ時に3m高くなる傾斜のことだ。この程度の傾斜をクルマで走行すると傾斜があることに気づかないことも……。そのため、平坦な道であると自己判断せずに駐停車時の操作はたとえ平坦と感じる道であっても基本を遵守するようにしたい。

 いったん自然発車が起きれば人力でクルマを止めることは困難となる。自然発車の死傷事故の多くは、止めようとしたドライバーがクルマの間に挟まれるなどして発生している。そのため、万一、クルマが動き出してもクルマの進路には絶対に入らないことも忘れずに!

次ページは : 坂道でのすれ違い方法も知っておこう

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