■デントツールを購入して試してみた!
挑戦するにあたって、マイルールを設定することにした。次にいつ使うか分からない工具がわんさかある当家では、これ以上仲間を増やさないためには、ただ購入すればいいというものでもない。
工具を数万円購入するなら、デントリペアのプロに頼んだほうが確実にキレイに修復できるので意味がない。そこで予算は5000円までと決め、デントリペアに使えそうな工具をAmazonで探してみた。
購入したのはボディパネルの内側から凹みを押し出すためのデントリペアロッドと、ボディ表面に貼り付けて引っ張ることで凹みを引っ張り出すバキュームリフターという道具。
バキュームリフターという商品名だが、バキュームは真空状態で負圧を利用するものだから本来の意味からすると誤りだが、表面を引っ張って凹みを直すという意味で名付けたのだろう。グルーガンを使ってグルーでタブをボディに貼り付け、ブリッジ型のツールでタブを引っ張るものだ。
さて、デントリペアロッドは届いた3本のロッドのうち、2本は短めながらしっかりしているが、一番長いロッドは細くて手で簡単に曲がってしまいそうなほど弱い。たくさんロッドが入っているデントリペアツールキットを見ても、この細いロッドは含まれているのだが、何に使うモノなのか見当がつかない。
説明書も何も付いていなかったので、使い方も通販のページを見たりして調べた。なんとなく分かったので、とりあえず試してみよう。
筆者のクルマは長年の使用で3箇所に凹みがある。1つは最近、狭い場所で縦列駐車をしようとした時に擦ってできた縦にできた凹み。2つ目は助手席ドアの下側にある謎の凹み。3つ目は右フロントフェンダーにある大きめの歪みのような凹み。これはよく見ると板金修理した跡にも見えるのだが、前オーナーが施したものなので真相は分からない。
この3つの凹みにデントリペアロッドとバキュームリフターを使って、修復を試みた。まずロッドの方は短い2本しか使えないため、ドア下の凹みには届かない。ドア内張を一部取り外してアプローチしてみたが、短くてドア内部にロッドのハンドル部まで入ってしまう。
リアクォーターに入った縦に入った凹みは、フェンダーアーチからアプローチできそうなのでトライする。樹脂製のインナーフェンダーをエアウェッジと呼ばれるポンプ付きのバッグで浮かせて、ロッドが入るスペースを確保する。
しかし凹みに先端が届いてはいるのだが、上手く凹みを押し上げる様に力が入らない。タイヤの上に太い枝をかませて、そこを支点にしても難しい。ロッド先端の角度や形状の問題なのか。
そこで室内側からアプローチも試みてみた。筆者のクルマは左リアクォーター内側にジャッキと車載工具が入るスペースがあり、そこからアウターパネルにアプローチできそうだからだ。
ジャッキを下ろし、そのホルダーとなる樹脂製のブラケットをズラして、なんとか凹みにロッド先端が到達。しかし、やはり上手く押し出すことができない。これはかなり練習も必要なようだ。ロッド先端の動きや感触が手で分かる様にならなければ、凹みを押し出すのは難しい。
その後、ドアポケットの取り付け穴を利用すれば短いロッドでも凹みにアプローチできることを発見し、挑戦。すると何度もテコのように押し当てることで、凹みをだいぶ小さくすることに成功した。最終的には平坦になるまで直したかったのだが、ロッドが短いせいか凹みの中心を押し出すことはできなかった。
プロは100本近くのロッドから、最適な形状や長さの1本を選び出して使用するようなので、少なくとも20本くらいのセットを購入しないと実際には使えないシーンが多そうだ。
動画投稿サイトでプロのデントリペア職人が、こうした激安ツールを使ってリペアしていく様子を紹介しているのをみたが、それはそれは鮮やかに凹みを消していった。「弘法筆を選ばず」という諺があるように、職人の腕が重要なのであって、道具の質はそれほど影響を与えないようだ(もちろんプロ用のツールのほうが使いやすいだろうし長持ちするのだろう)。
一方、バキュームリフターのほうは、引っ張っている時には凹みを持ち上げるものの、強めると剥がれてしまい、凹みを直すには至らない。2種類のグルーを使い、何度もやってみたが凹みが治る気配はなかった。最終的にタッチアップした塗料が剥がれたので、今回は諦めた。
軽自動車のようにボディ鋼板が薄いモノなら、これでも修復できるのかもしれない。ネジ式よりも一気に力が入るスライドハンマー式や手で握るレバー式のほうが直しやすい(その分、引っ張りすぎてしまう恐れもあるが)のかもしれない。
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