電動パーキングブレーキでもクルマは停められる
万が一、フェード現象やペーパーロック現象の予兆に気づかず、そのまま走り続けてブレーキがまったく効かなくなったらどうするか。
まずはシフトダウンしてエンジンブレーキで速度を落とす。MT車なら3速→2速→1速と丁寧に一段ずつギアを落としてアクセルは全閉。AT車でもパドルシフトなどを使って、落とせるだけギアを落とす。
プランBは、パーキングブレーキを使って止める方法。パーキングブレーキは、フットブレーキとは異なる独立したブレーキ系統なので、フットブレーキが効かなくなっても、パーキングブレーキは作動するはず。
パーキングブレーキはリア2輪にしか効かないので、制動距離は前述の通り、通常のブレーキの2~2.5倍の距離、50km/hでドライのアスファルト路面を走っているときなら、4.5~5秒ぐらいで完全停止させることができる。
このパーキングブレーキで止まるときのポイントは、できるだけハンドルを真っ直ぐにした状態で、徐々に徐々にブレーキをかけること。一気にパーキングブレーキを引くと、リアがロックし、クルマが暴れたりスピンすることもあるので要注意。
電動パーキングブレーキでも、スイッチのレバーを引き続けていればパーキングブレーキは作動するので覚えておこう。
後続車に減速することの意志表示を!
もうひとつのトラブルとして、「ノックバック」というのもある。
「ノックバック」は、ブレーキパッドがローターにより叩かれ、パッドとローターのクリアランスが正常時より広がり、ブレーキペダルを踏むとはじめの一回だけ深くペダルが沈み、その次からは正常に戻る現象だ。カーブ手前の減速ベルト(凸凹の舗装)やキャッツアイ、縁石を踏んだときに起きやすい。
ノックバックは、ペダルを二度踏みすれば解消することが多いので、アレッと思ったときは一度ブレーキペダルから足を離し、もう一度踏み直してみるといい。
シフトダウンやパーキングブレーキで減速するときも、後続車に減速する意思を伝えるため、ブレーキペダルを踏み続け、ブレーキランプを点灯させ、できれば緊急事態を知らせるべく、ハザードランプなども併用するようにしたい。
その他、山道であれば道路わきに用意されている砂利や土を持って上り坂道状にした「緊急避難所」に進入する方法もあるし、最後の手段としては、クルマの側面をガードレールや壁、路肩に擦りつけ、その摩擦力で停車する方法もある。
いずれにせよ、運転中にブレーキが効かなくなることほど怖いことはないので、ブレーキ関係は定期的にしっかり点検し、ブレーキパッドは摩擦材の残量が5mm以下になったらそろそろ交換、3mmなら即交換だ。(※法的にパッドの残量に規定はないが、定期的な点検こそ安全への最高の保険だ=編集部註)。
ブレーキフルードも車検ごとに交換し、ローターの歪みやクラック、ブレーキホースの状態などもプロにチェックしてもらい、トラブルの発生を事前に防ぐことが肝要だ。
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