■新旧のシミュレーターを使った感想
かつて筆者が勤めていた教習所では、古いシミュレーターから新しいシミュレーターへの入れ替えるタイミングがありました。シミュレーターを入れ替える時に、以前使っていたシミュレーターと新しいシミュレーターにどのような違いがあるのか比べることができたので、そのときの率直な感想をお伝えします。
過去に使っていたシミュレーターは、臨場感がなく運転の操作が体験できるゲーム機のようでした。一方、新しいシミュレーターは、映像の臨場感が増し、運転席から見る景色に近いものになっていましたが、映像酔いしそうな立体映像だと感じました。
映像酔いしそうだという嫌な予感は見事に的中し、シミュレーションの映像で気持ち悪くなってしまう教習生もいました。
(この感想はかつて勤務していたときの話となるため、現在では映像酔いしにくいシミュレーターに変わっているかもしれません)
■シミュレーターでの教習について
運転シミュレーターでできる教習は、運転装置の扱い方や基本的な操作、危険を予測した運転、高速道路での運転、急ブレーキなど、教程の一部のみとなっています。そのため、全教程を運転シミュレーターで行うことはできません。
ただし、シミュレーター教習は、実際に車を動かすことがないため、教習生の精神的負担が少ないといえるでしょう。
実車での教習は、車を動かしたり公道を走行したりするため、教習生の多くが緊張状態になります。一方、シミュレーターでの教習は、実際に車を走らせることがないため、緊張状態になりにくく、リラックスして運転したり冷静な判断ができたりするケースが多いです。
また、シミュレーターで事故になったとしても「あぁ、やっちゃった」だけで済みます。しかし、シミュレーターでの事故が実際の道路だった場合、大きな責任を負わなければなりません。
このように、運転シミュレーターによる教習は、教習生の精神的負担が軽減されるというメリットと責任意識が薄れてしまうというデメリットの両面があるといえるでしょう。
■シミュレーター教習は注意点を学ぶきっかけにすぎない
運転シミュレーターによる教習は、運転の基本操作や代表的なヒヤリハットなどをシミュレーターで体験する教習です。そのため、実際に運転するときに気を付けるべきポイントや注意点などを学ぶのには適しているでしょう。
また、危険を予測した運転をシミュレーター行うときは、危険があることを前提にスタートするため、危険な場面が来そうな予感がしたり、ヒヤリハットの場面で「やっぱりな」となったりすることがほとんどです。よって、シミュレーター教習で事故になることは多くありません。
しかし、実際の道路では予想できない動きをする人・自転車・バイク・車がいます。また、運転者も車を動かすことに必死になったり他のことに気を取られてしまったりするなど、危険があるという前提を忘れてしまうケースが多いです。
運転シミュレーターで学んだ注意点や目配りなどを実際の運転に活かせなければ、シミュレーター教習は無意味になってしまいます。
そのため、運転シミュレーターを使った教習や講習を受けるときは、シミュレーターで体験した内容を実際の運転にどのように活かすのか考えながら受講することが大切だといえるでしょう。
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